侵略者ロシアのフードコートには「東京ラーメン」「バーガーキング」が モスクワの一見“平穏”な日常
日常に大きな混乱はない
一方、ロシアの首都モスクワでは、ナタリアさんの願いとは裏腹の光景が見られる。現地在住のジャーナリスト・徳山あすか氏によると、
「外国人観光客が激減して、地価が高い中心街では空き店舗も目立っています。でもそれは戦争というより、コロナで中国人旅行者が減った影響が大きい。食品や衣服など生活に不可欠なものは足りているので、市民の日常に大きな混乱はありません」
欧米や日本の企業が撤退しても、ロシア企業が取って代わるだけのようである。
徳山氏が撮影したモスクワのショッピングモールの風景は象徴的だ。シャンデリア風の照明も配されたフードコートには「東京ラーメン」や「バーガーキング」の看板が。多くの若者や家族連れが、気楽に「平和」を味わっている。
家族でラーメンをすするモスクワっ子たちは、自国が始めた戦争に関心がないということなのだろうか。
「時々、街角のベンチや地下鉄の車両のドアなどに、ゲリラ的に書かれた反戦メッセージを見かけます。たいていすぐに消されてしまうのですが」(同)
表面上は平穏でも、内心は不満や不安を抱えるロシア人が少なくないのかもしれない。ベンチにロシア語と英語で書かれた〈戦争反対〉の文字は、翌日には消えていた。こうした声が力を持つ日は来るのだろうか。