83歳のゴルフ評論家が「男子プロ」たちに言いたいこと

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ジャンボ尾崎の読書習慣

 男子のJGTOが日本プロゴルフ協会から独立した後にツアープロに転向した者たちからおかしくなった。彼らはプロ選手会なるものをつくり労働組合化してしまった。昔は出場選手を大会に貸し出すシステムに近かった。人気があったから派遣料をもらうなどプロゴルフ協会は売り手市場だった。

 しかし、選手会が出来たいま、トーナメントをプロデユースするJGTOとは労使関係のようになっている。さらにはJGTOの収入減をカバーするため、賞金の3%をJGTOにキックバックさせられているということも両者の関係を気まづくさせている一因だろう。

 今年の試合数がたったの26試合、2部ツアーのABEMAツアーは11試合という数字が男子の現状を物語っている。30年前は40試合あった。賞金ランク外の地方試合と重なった年もあった。今は懐かしい話だ。なぜ、当時は男子ツアーに人気があったか。それはAONをはじめ、杉原輝雄を中心とした関西プロ軍団が互いに競い争ったからである。競争したから腕を研いた。年間優勝回数を競った。競争すれば腕も上がる。競争しないところに進歩はない。

 男子プロにはスコアと優勝回数を競う年にしてもらいたい。日本マッチプレーでは安田春雄 対 新人 中嶋常幸 戦で「OK」を出した中嶋プロが好意をもって安田のボールをパターでポンと叩いて渡したことがあった。安田はカーッとして「なんだ、このヤロウ!」と睨みつけたものである。それほど新人といえど中嶋常幸は勝負に集中していた。彼らは職人プロだから土俵に上がったら死にもの狂いで戦っていた。

 ジャンボ尾崎は単行本を週1冊読んでいた。愛読書は峰隆一郎の剣客小説だった。戦う侍の心構えを体得したそうだ。昭和生まれのプロは少なくなったが平成生まれの若者たちも参考にしてはどうか。

早瀬利之(はやせとしゆき)
作家。ゴルフ評論家。1940(昭和15)年、長崎県生まれ。1963(昭和38)年、鹿児島大卒。著書に『石原莞爾 満州ふたたび』、『敗戦、されど生きよ』、『タイガー・モリと呼ばれた男』(以上、芙蓉書房出版)、『石原莞爾が見た二・二六』(光人社NF文庫)などがある。

デイリー新潮編集部

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