「G20」欠席して国会での仕事は「53秒」だった林外相を足止めした犯人は誰なのか?

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みんなでスルー

 実のところ、経緯を見ると、立憲民主党だけではなく自民党も林氏の外遊を認めないというスタンスを主張していた。国民民主党の玉木雄一郎代表は「林大臣はG20に出るべきだ」と主張していたが、彼らと自民党が共闘した形跡もない。

 つまり麻生副総裁は今頃になって苦言を呈しているが、何のことはない、自分たちも「国会優先」という側に立っていたことになる。

 政府与党、あるいは外務省が記者クラブらに対して「国会優先はおかしい」と問題提起を事前にしていたら展開は変わったかもしれないが、そもそも当事者もメディアもほとんどこの件をスルーしていたのだ。

 では、岸田首相は今回の判断にどれくらい関与したのか?

「ほぼ関与していないと見られますが、結果として良くなかったと思います。中身がないうえに退屈で、”やる意味があるのか?”とかねて指摘される国会審議の不要論に拍車がかかりそうですね。まぁそれは言い過ぎだとしても、首相は今回の件でもリーダーシップを発揮すべきだったのにできなかったと言えるのではないでしょうか」(同)

ウクライナ訪問は切望

「首相は自身がウクライナに訪問することには相当前のめりになってきたのに、今回の件には後ろ向きというか冷めた姿勢というか……。自分がスポットライトを浴びる場面とそうでない場面とでは熱意に差が出るのは仕方ないのかもしれませんが、対ロ包囲網で各国が一致結束する好適なタイミングだっただけに、残念な印象を受けますね」(同)

 林氏は首相と同じ宏池会所属で、次の首相候補として名があがる。「外交の岸田」からすると、自分以外が外交で目立つのに抵抗でもあったのだろうか。

「首相は林氏を信頼しつつも、どこかでライバル視するところもあり、晴れ舞台に送り込むのを躊躇したのではないかと邪推する人もいましたね」(同)

 要するに、首相も与党も多くの野党も、林氏がG20に出ても出なくてもどうってことない、という認識で一致していたということだろうか。

 何が国益に資するのかといった子供でもわかるような判断や単純な日程調整がなされていないことは嘆かわしい限りである。

デイリー新潮編集部

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