宮沢りえ 舞台「アンナ・カレーニナ」の稽古で見せた熱量 関係者は「同世代では断トツの実力」
2月24日、宮沢りえ(49)主演の舞台「アンナ・カレーニナ」(Bunkamura シアターコクーン=東京・渋谷)が幕を開けた。2020年夏に公演が予定されていたもののコロナ禍で中止となり、2年半を経ての上演だ。満員の客席は初日からスタンディングオベーションで、トリプルカーテンコールだったという。
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ロシアの文豪トルストイは、ちょうど150年前の1873年3月に大作「アンナ・カレーニナ」の執筆を始めたという。
19世紀後半のロシアの貴族社会を舞台に、政府高官の妻で社交界の華のアンナが貴族の青年将校と駆け落ちをして娘をもうけるも破滅へと向かう物語だ。
これまでに何度も映画化され、グレタ・ガルボはじめ、ヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソー、キーラ・ナイトレイなど錚々たる美女がアンナ役を演じてきた。日本の舞台では1974年に栗原小巻が演じたことで知られる。
むろん、今回のアンナは宮沢だ。彼女と駆け落ちする青年将校ヴロンスキーは、「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日)で俳優デビューした渡邊圭祐(29)。アンナに逃げられる夫カレーニンは、飄々とした善人からドライな悪人までを演じ分ける小日向文世(69)。アンナの兄オブロンスキーは、大河「鎌倉殿の13人」で暗殺者・善児を演じて話題となった梶原善(57)。
開幕前に稽古場を覗いた演劇関係者は語る。
「もっと来て!」
「稽古は1月9日に始まりました。通常、舞台稽古は1カ月程度ですから、かなりの日数をかけていました。上演台本と演出は英国のフィリップ・ブリーンで、彼は稽古場のコミュニケーションを重視するタイプということもあり、この戯曲に対して思い入れが強い宮沢は『もっと稽古したい! もっと!』と強く熱望していました。相手役で若手注目株の渡邊に対しても『もっと来て! もっと来て!』と求めることも多く、自身の芝居の熱量と同じにしようと、常にディスカッションしているのが印象的でした」
2017年に放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)では、舞台「クヒオ大佐の妻」に主演する宮沢の舞台裏を追った。そこでも彼女の舞台にかける熱さは滲み出ていたが、今回はそれ以上だという。
「蜷川幸雄や野田秀樹の演出作品を経て、舞台女優として年々凄味を増している宮沢ですが、シェークスピアもギリシャ悲劇も経験がないという思いがあったようです。今回は大作中の大作と言って過言ではありません。それに2020年に予定された舞台は、まだ稽古に入る前に中止が決まってしまいました。当時予定されたキャストは、宮沢以外ほとんどが変更となりました。それだけに座長としての責任感もあるのだと思います」
彼女の熱意のおかげか、3月19日までのチケットはほぼ完売。大阪公演(25~27日:森ノ宮ピロティホール)もほぼ売り切れた。
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