脂の乗った“寒ブリ”を真夏にも 進化系「冷凍寿司」、半年経っても“握りたて”の美味しさを保つ最新技術とは

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青魚も安全・新鮮、“魚の旬”を大幅延長へ

 今年2月上旬には、埼玉県の老人ホームへ30個の海鮮丼を納入。施設では、衛生上の理由から生ものの持ち込みが制限されているが、冷凍されてアニサキスの心配もないので好評だったといい、入居者から「次は握りを」といったリクエストもあるのだとか。

 うまい寿司を食べたい時に、という画期的な商品だけに利用の可能性は広がりそうだ。同社では、家庭用に加えてグランピングなどの旅先、さらには海外でも日本の寿司職人が握ったとしか思えない握りが食べられるとあって今後、需要は高まるに違いない。

 魚をおいしく食べられる時間を延ばせるということは、例えば秋が旬のサンマや戻りガツオを春に味わったり、寒ブリなどの冬の味覚を夏に握り寿司で食べたりすることも可能なわけだ。何より獲れ過ぎた青魚を餌に回したりせずに冷凍し、新鮮なままいただける。SDGsの観点からも、貴重な技術ではあるまいか。今後の普及に期待が高まる。

川本大吾(かわもと・だいご)
時事通信社水産部長。1967年、東京生まれ。専修大学を卒業後、91年に時事通信社に入社。長年にわたって、水産部で旧築地市場、豊洲市場の取引を取材し続けている。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社)。

デイリー新潮編集部

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