出稼ぎ労働者が嫌気を差して現場復帰せず… ゼロコロナ解除でも中国経済は回復しない根拠

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「新型コロナウイルスの感染は散発的に起きているが、基本的に収束した」

 2月23日、中国の衛生当局の専門家はこのように述べた。その理由として、中国全土で感染が急増したことで集団免疫が形成されたことを挙げている。だが、その実態は不明だと言わざるを得ない。筆者は「中国政府の公式見解はあまりに楽観的だ」と考えている。

 中国政府が昨年12月にゼロコロナ政策を実質的に解除したのは、昨年の経済成長率が半世紀ぶりに低水準に陥ったことが主な原因だ。就職難に苦しむ若者の抗議デモ(白紙革命)に危機感を覚えた政府が突如その方針を転換するという予想外の展開だった。

 障害となっていたゼロコロナ政策が解除されたことで「中国経済は早期に成長軌道に戻る」との期待が国内外で高まっているが、はたしてそうだろうか。

財布のひもは堅いまま…

 中国メディアによれば、今年の春節前後の期間(1月7日から2月15日まで)の合計旅客数は延べ約16億人となり、事前の予測より5億人少なかった。昨年より5割強の増加だったが、コロナ前の2019年の5割強にとどまった。春節時に医療資源が乏しい農村などで感染が拡大することを警戒して帰省を控えた人が多かったとされており、国民の新型コロナへの警戒心は根強いことがみてとれる。

 そのせいだろうか、ゼロコロナ政策が解除されても、中国人の財布のひもは堅いままだ。

 中国人民銀行によれば、1月の新規貯蓄額は前年比15%増の6兆2000億元(約120兆円)となり、過去最高を更新した。

 春節前はボーナスを支給する企業が多いことから他の時期に比べて貯蓄が増加しやすく、昨年1月の新規貯蓄も過去最高を記録したが、今年はさらに増加した。

 専門家は「住宅や耐久消費財の購入需要の戻りが鈍い。持続的な消費回復のためには雇用状況の改善が欠かせない」と指摘する。

 ゼロコロナ政策が解除されたことで北京市など大都市で就職フェアが多数開催されているが、参加者は「多くは望めない」と考えている(2月22日付ロイター)。むしろ、雇用への不安が広がっている。中国の大手人材紹介企業が2月上旬に公表した調査によれば、「事務系従業員の約5割が今年職を失うかもしれない」と心配している。

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