【舞いあがれ!】最終回まであと1か月 IWAKURAの「笠やん」をなぜ最大級のヒーローにしたのか

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心痛んだ人にやさしい久留美は悠人に寄り添う

 現在の悠人に寄り添うのは、舞の幼なじみで看護師の望月久留美(山下美月[23])。2人は急接近している。久留美は医師・八神蓮太郎(中川大輔[25])との婚約が破談になった。八神家の理不尽な猛反対が理由だ。回り道をしたが、幼いころから知る悠人と結ばれるのだろう。

 2人はお似合いだ。久留美は、ラグビーの道を断たれた後、ずっと腐っていた父親の佳晴(松尾諭[47])と一緒に暮らしてきた。ダメおやじだが、自分を誰よりも愛してくれたからだ。久留美は挫折した人間の痛みとやさしさが分かっている。

 梅津貴司(赤楚衛二[28])もまた回り道をした。高卒後にSEになったものの、仕事に拒絶反応を起こしてしまい、退職して全国を放浪。自分を見つめ直し、やっと歌人が自分の進むべき道だと気づいた。

 舞と貴司の関係も随分と回り道だった。お隣さんで幼いころから親しい間柄でありながら、お互いに28歳になるまで相手がベストパートナーであることに気づかなかった。

 速さと最短コースが求められがちな現代において、回り道という言葉にはマイナスのイメージが付きまとう。だが、そうとは限らない。回り道をしないと得られないもの、見えないものがある。

 舞が貴司こそ一番大切な人だと気づいたのも柏木との交際があったから。舞にやや強引なまでに意見する柏木がいたからこそ、全てを包み込んでくれる貴司のありがたさに気づいた。回り道には価値がある。これが桑原亮子氏のメッセージの1つに違いない。

 このメッセージを早くから暗示していたのは航空学校編で教官・大河内守(吉川晃司[57])が口にした言葉。退学になった同期の水島祐樹(佐野弘樹[29])に対し、舞が同情心を抱くと、強く戒めた。

「岩倉、水島学生は確かにこの学校を去ることになった。だが、それで人生が終わったわけではない。大切なのは彼がこれから、どう生きるかだ」(大河内)

 水島も回り道をしたが、敗者になったわけではない。のちに東大阪を訪れ、舞に対しスーパーの副店長になったことを報告した。溌剌としていた。舞たちとの友情も終生続くはずだ。

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