語られない「障がい者の性欲」… YouTube出演で注目された、介助サービスの知られざる仕事内容

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「健常者」からのトンデモクレーム

 小西さんへのインタビュー中、しばしば、「日本の遅れ」が話題にのぼった。ヨーロッパには「排泄も射精も同じ。介護者が介助するもの」という前提に立って、性サービスが提供される地域もあるそうだ。障がい児の教育者に性教育者の資格を義務付けているところもある。

 日本にだって、小西さんの団体や私が理事を務める団体だけでなく、障がい者の性の啓発や性処理介助の団体がいくつもある。しかし認知度は低い。90年代後半には養護学校の性教育が過激だと問題視され、裁判にまで発展したこともあった(「七生養護学校事件」)から、こうした影響もあるのだろうか。

 そんな日本で小西さんは活動を続けるわけである。

「こんなに応援してくださるの?と驚くくらいではありますが、やっぱり今後も活動を続けられるのか不安はあります。クレームはほとんどありませんよ。『健常者だって女の子と恋愛できない人がいるじゃないか』と一度言われたことはありますが。あと街録chを観た方なのか、健常者からのサービスのお問い合わせも全体の1割ほど……もちろんお断りしています」

 彼女が歩み始めた道のりは、長く険しく虚しさの連続になると想像できる。それでも諦めずに道を切り開いて行って欲しいと思ってやまない。

後編:【私が「障がい者の性介助サービス」を始めた理由…「輝き製作所」所長・小西理恵さんが語る】へつづく

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』(コスミック出版)。主な著作に『売る男、買う女』(新潮社)、『東電OL禁断の25時』(ザマサダ)など。Twitter:@muchiuna

デイリー新潮編集部

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