「長生き」が最大のリスク? 豊かな老後に必要な月給10万円の「小さな仕事」

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“全てのリスク”は予測困難

 とはいえ、突然のけがや病気などで出費がかさんだらどうしようと心配する方もいるかもしれません。ところが、手術などで高額な医療費がかかったとしても高額療養費制度などによって負担額は多くても5万7千円程度に抑えられます。また、昨今の物価高のようなイレギュラーな状況を心配する方もいるかもしれませんが、このような事態が長期間にわたって続いたり頻発したりすることも考えづらい。全てのリスクを正確に予測することは困難ですが、手元にある程度の貯蓄を残しておけば、過度に心配する必要はないと思います。

 それから「小さな仕事」は、定年間際まで賃貸住まいだった人が「家を買う」という選択をすることも後押ししてくれます。

定年前後に「家を買う」という選択

 そもそも「持ち家か賃貸か」はそれぞれに一長一短があり、簡単に答えを出すのは難しい。ただ、65歳から74歳の借家の人の家賃を算出したところ、平均で月5.1万円かかっており、高齢期の支出の中では無視できない割合になっている。これを考えると、「老後の生活」においてはやはり家賃のかからない「持ち家」の方がいいと推奨できます。さらに持ち家は自宅を担保に老後にかかる資金の借り入れを行う「リバースモゲージ」など“保険”としても活用できる可能性があります。

 定年前後に「家」という一生の買い物をするのは、確かに簡単な決断ではありません。でも、老後も働くのであれば何千万円もの貯蓄を残しておく必要もありませんから、数百万円の貯金を手元に残して残りを中古マンションなどの購入費に充てることも現実的といえます。実際、2人以上世帯の持ち家比率は40代後半が80.8%であるのに対し60代後半は92.3%。若いうちから準備するに越したことはありませんが、定年前後に近づくほど家を買うという選択をしている人が多いことが分かります。

 そのほか、規則正しい生活ができる、社会との接点を維持できるなど「小さな仕事」には多くのメリットがあります。

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