期待を裏切った阪神の“ダメ助っ人列伝” 「ヒット1本500万円」に「実態は大型扇風機」という失敗の数々

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“日本向き”をアピールするも……

 メジャーで実績を残した外国人選手といえども、日本ではさっぱりダメだった例も数多い。特に熱狂的なファンが多い阪神の場合は、シーズン開幕前から「4番は決まり!」などとマスコミが派手に報じるので、活躍できなかったときのギャップは余計に大きくなる。【久保田龍雄/ライター】

 虎の代表的な“ダメ助っ人”といえば、たった7試合に出場しただけで「神のお告げ」を理由に電撃引退した1997年のマイク・グリーンウェルや、キャンプで豪快な打球を飛ばしながら、打率1割台の“虚砲”で終わった94年のロブ・ディアー、2009年のケビン・メンチが有名だが、ほかにも虎党を嘆かせた“期待外れ”の助っ人が何人もいる。

 野村克也監督就任1年目の1999年に来日したマイク・ブロワーズもその一人である。

 マリナーズ時代の95年に23本塁打、96打点を記録し、同年8月にはメジャー記録の月間満塁本塁打3本を放つなど、メジャー通算76本塁打(当時)の4番候補は、入団会見で「セールスポイントは肩の強さと逆方向にも打てるバッティングだ」と“日本向き”をアピールした。

 来日当初は順調だった。2月21日の紅白戦では、4回無死二、三塁のチャンスに投手挑戦中の新庄剛志から三遊間にクリーンヒットを放ち、2万人のファンを沸かせた。さらに、3月6日のオープン戦、広島戦で右中間最深部に来日1号を放つと、同10日の横浜戦でもバックスクリーン右に特大弾とパワーを見せつけた。

義母の危篤を理由に緊急帰国

 ところが、開幕から4番として4試合で4打点を挙げ、「さあ、これから」という4月7日に義母の危篤を理由に緊急帰国。同23日のヤクルト戦から戦列復帰以降も打率2割台前半の低空飛行が続き、6月にはスタメンを外れた。

 そして、最後の先発出場となった8月1日の中日戦、1点リードの6回に三ゴロエラーを犯し、同点に追いつかれるきっかけを作ったブロワーズは、打席でもチャンスにことごとく凡退し、6回無死一塁の3打席目も遊ゴロ併殺打。直後の7回から懲罰交代となり、平尾博司が三塁の守備に就くと、スタンドの阪神ファンから拍手が送られるほどだった。

「高いお金(推定年俸2億2000万円)を払ってますからね。今後の起用? これから考えます」と悩んだ野村監督も、翌2日の中日戦で代打起用のブロワーズが併殺打に倒れると、ついに「2軍に落としたいという話をした。打てないだけならまだしも、守るほうも走るほうも1軍レベルではない」と見切りをつけた。

 だが、本人が契約時の付帯条件をタテに拒否したため、8月4日に解雇が決定。「ファンにはこんな成績でも、応援に感謝している」の言葉を残して退団帰国した。

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