侍ジャパンでまさかの退場劇、史上初の大乱闘…WBCで起きた「珍場面」を振り返る

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「確率32万4900分の1」がトレンドワード入り

 本塁打性の打球を2度にわたって同じ観客の男性がキャッチするという奇跡的なシーンが見られたのが、2017年の第4回大会2次ラウンド、ドミニカ対プエルトリコである。

 2回、ドミニカのネルソン・クルーズが右中間に放った打球を、外野席最前列にいた男性が身を乗り出して素手でキャッチした。プエルトリコ側は「男性が捕球しなければ、スタンドに入らなかったのでは?」と抗議したが、リプレー検証の結果、本塁打と認められた。

 さらに4回、プエルトリコのエディ・ロサリオの右中間への打球がワンバウンドしてエンタイトル二塁打になったが、高く跳ね上がったボールを先ほどの男性が身を乗り出して再びキャッチ。

 本塁打のボールが飛んでくる確率は「570分の1」といわれ、2度目はエンタイトル二塁打になったものの、同じ人がボールをキャッチできる確率は、単純計算して「570分の1」の二乗の「32万4900分の1」になる。ツイッターでも「確率32万4900分の1」がトレンドワード入りするなど、大きな話題を集めた。

 ちなみに、同年は、1次ラウンドの日本対キューバでも、1対1の4回2死二塁で山田哲人が左越えに放った本塁打性の大飛球を客席の少年がフェンスより手前でグラブ捕球したことから、二塁打になるハプニングも起きた。

 その後、ネット上で少年が非難されるなど、“幻のホームラン”騒動が過熱したことを受けて、山田が「僕は全然気にしていない。だから、野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」とメディアを通じて“神対応”のメッセージを贈ったことも懐かしく思い出される。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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