新シーズン開幕の「リブゴルフ」に続く追い風 世界ランク対象ツアー承認間近でも、残る不安材料

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不安要素は?

 リブゴルフに方々から追い風が吹いていることは間違いない。だが、せっかくの追い風を活かすことができないうちに、風が吹き抜けてしまう可能性もないわけではない。

 現状では、リブゴルフは予選落ちのない3日間54ホール形式。今年からは4名1組の全12チームがそれぞれフランチャイズ化され、収益を上げることも目指しつつ、年間14試合を戦う形でスタートしており、出場選手とチーム分けは完全にフィックス(固定)されている。しかし、世界ランキングの対象ツアーとして承認されるためには、予選カットを設けること、予選会などを行なって外部からの登竜門を開くことが最低条件として要求されると思われ、リブゴルフの体制変更にはそれなりに時間がかかるはずである。

 その間、リブゴルフ選手は予選落ちのない3日間の大会をこなすことが日常業務となり、予選カットのある4日間の大会を経験するのは、メジャー大会や一部のDPワールドツアー、アジアツアーの数試合のみに限られる。

 たとえ元トッププレーヤーであっても、予選カットを意識しながら4日間を戦う感覚は、日ごろから経験していなければ薄らいでいく。戦い方や試合勘は、経験が減れば減るほど錆びついていく。せっかくメジャー大会に出場しても、久しぶりに立つ大舞台でカットラインを意識したら、途端に調子が狂い、あえなく予選落ちとなる可能性は大いにある。

 そして、リブゴルフが世界ランキングの対象ツアーとして承認されたとしても、ポイント設定の度合い次第では、すでに下降の一途を辿っているリブゴルフ選手たちの世界での位置づけが、なかなか高まらない可能性もある。

 そう考えると、リブゴルフは、今、吹いている追い風に有頂天になってはいられないはず。ブラスバンドの演奏や打ち上げ花火の派手な演出より、詰め将棋のように堅実な攻め方を練り、効果的に先手を打って追い風をモノにすることが必要である。

 短気で激昂型で感情的なノーマンCEOにそれができるかどうか。2年目のシーズン突入の今こそ、本当の手腕が問われようとしている。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やテレビ・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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