来春の朝ドラヒロイン「伊藤沙莉」が語った“アルバイト時代” 「“ニート”の時期が長かったんです」

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汚れ役も厭わなかった

 たとえば2017年に須賀健太(28)とダブル主演した映画「獣道」はいわゆる汚れ役だった。演じた愛衣という女性は重度の新興宗教マニアだった母親に育児放棄され、宗教施設で育てられるが、そこが警察の摘発で消滅してしまう。

 愛衣は居場所を求めてヤンキー集団の一員になり、自分も極悪の不良になる。その後、幸せな一家と同居する機会を得て、自分も満ち足りた日々を送るが、この一家に愛されたいと思った行動が裏目に出て、追い出される。そしてセクシー女優になる。脱ぐ場面もあった。

 この作品で伊藤が凄かったのは、愛衣の境遇と精神状態がどう変わろうが、すべて現実のように見せたところ。

 伊藤は自分と役柄を同化させるタイプというより、どう演じたら、その役柄に見えるのかを考え抜くようだ。人間ファイルが生きている。

 民放では2015年の「トランジットガールズ」(フジテレビ)など2本の主演連ドラがある。しかし、どちらも深夜帯だった。

 好演した2017年度上期の朝ドラ「ひよっこ」、2019年の「これは経費で落ちません!」、2022年の「ミステリと言う勿れ」(フジ)などは全て助演だ。

 それだけに2月22日の「虎に翼」の制作発表で、伊藤が「決まってすぐには信じがたかった。『やった!』というよりは『ホント?』みたいな疑いから入った」と語ったのは本音だろう。なにしろ苦節20年である。

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