金正恩の後継者に次女・ジュエはあり得ない理由 ならば娘をわざわざ登場させる意図はどこに?

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「儒教国家」の意味

 テレビがそんないい加減な報道をするから、間違ったフェイク情報が広がり国民は騙される。テレビは、映像があると何でもニュースにするから、引っかからないでほしい。

 北朝鮮は、儒教国家である。その意味をよく理解してほしい。鄧小平は世襲に反対したが、「朝鮮は儒教国家だから仕方がない、一度だけなら」と、金日成に伝えたという。儒教的価値観から、「指導者への絶対忠誠」政策が生まれた。

 儒教文化のもう一つの特徴は、大賄賂国家だ。中国でも、巨額の賄賂事件が後を絶たない。北朝鮮に進出した日韓の企業は、必ず賄賂を要求された。国内の不正腐敗は、賄賂文化の儒教と共産主義の賄賂文化が合体したためだ。

 国民の飢餓問題に北朝鮮の指導者と高官はなぜ関心を示さないのか。もちろん、体制を揺るがす問題なら急いで対応するが、体制維持に大きな支障がなければ放置する。でも食糧難と餓死は、軍の兵士にも伝わるから、指導者への忠誠心が揺らぎかねないので、大問題だ。数年前には、軍部隊での反乱も伝えられた。

重村智計(しげむら・としみつ)
1945年生まれ。早稲田大学卒、毎日新聞社にてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員を歴任。拓殖大学、早稲田大学教授を経て、現在、東京通信大学教授。早稲田大学名誉教授。朝鮮報道と研究の第一人者で、日本の朝鮮半島報道を変えた。著書に『外交敗北』(講談社)、『日朝韓、「虚言と幻想の帝国の解放」』(秀和システム)、『絶望の文在寅、孤独の金正恩』(ワニブックPLUS)など多数。

デイリー新潮編集部

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