米国82%、ロシア78%、日本はわずか0・02%…核シェルターの普及率が極めて低い根本的原因
日本はわずか0.02%
日本政府も核シェルターの有事での必要性を認識するようになっており、昨年12月に策定した安全保障関連3文書に核シェルター整備の方針が初めて明記された。
冷戦期に作られたウクライナの核シェルターが、ロシアの攻撃から住民を守る避難場所として有効に機能していることが日本でも知られるようになったことが関係している。
政府は、公共施設だけでなく商業ビル、個人住宅といった民間の建物へも核シェルターを設置する方針だ。シェルターには様々なタイプがあることから、政府は「2023年度はシェルターに必要な仕様や性能の技術的な分析を始める」としている。
自民党内に「シェルター議員連盟」が設立されるなど、永田町では核シェルターへの関心がにわかに高まっている。
機運が盛り上がってきたことはたしかに望ましいが、海外との格差はあまりに大きいと言わざるを得ない。
日本にはミサイルの爆風を防ぐ強固な建物として指定された「緊急一時避難施設」が昨年4月時点で全国に5万2490カ所あるが、このうち被害を防ぐ効果が高い地下施設は1591カ所にとどまっている。
これに対し、中国の圧力を受ける台湾には、人口の3倍超を収容できる10万5000カ所のシェルターがある(1月27日付日本経済新聞 )。
NPO法人日本核シェルター協会が2014年に実施した調査によれば、各国の人口当たりの核シェルターの普及率は、スイスやイスラエルが100%、米国が82%、ロシアが78%と高い比率を示す一方、日本はわずか0.02%だ。
核シェルター協会は「この状況は現在も変わっていない」と指摘している。既存の商業ビルの地下を核シェルターに改修する場合、数千万円の費用がかかり、普及のためには企業のコスト負担の軽減が不可欠だからだ。
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