「電気代、ホントに安くなってるの?」の声続々 専門家が指摘する料金高騰の裏側と「今日からできるサバイバル術」
4月からは平均3割の値上げ
電力大手10社のうち、中部・関西・九州を除く7社は4月以降、家庭向け電気料金を値上げする見通しだ。7社の値上げ率は申請ベースで平均33%前後となり、政府の負担軽減策を上回ることになる。
「対象となるのは契約世帯の約52%を占める、家庭向け『規制料金』です。新電力や自由料金プランに変更していない家庭が該当しますが、規制料金は燃料価格の変動に応じた料金値上げに上限が設けられ、それを超えると電力会社側の“持ち出し”となる。電力大手10社はすでに昨年9月使用分までに上限額に達しており、各社の経営を圧迫する最大の要因になっています。いまは低く抑えられている規制料金ですが、4月と6月に予定されている値上げによって政府の負担軽減策の効果が帳消しになる可能性が懸念されています」(山本氏)
料金そのものだけでなく、東京・中部・北陸・関西・九州の5電力は送配電網の使用料「託送料金」の引き上げに伴い、同じく4月から値上がり分を電気料金に転嫁することを表明している。企業などと違い、上昇分を商品などに転嫁できない一般家庭にとっては、逃げ場のない“八方ふさがり”の状況が目前に迫っていることになる。
「都市ガス」も30%の値上がり
経済評論家の荻原博子氏が言う。
「財務省や経産省の言いなりでしかない岸田首相に期待しても裏切られるだけで、自分の身は自分で守るしかありません。今後も高止まりを続ける電気代から“家計破綻を回避する術はあるのか?”とよく聞かれますが、結局のところ電気代を抑えるには使用量を減らすしかないのが現実。それでもちょっとしたことで、料金抑制に繋げることは可能です。たとえば30分や1時間程度の外出に際して、エアコンをわざわざ切る人も多いですが、それだとかえって電気代はかさむことになるので注意が必要です」
エアコン起動時の消費電力は通常、運転時の3倍以上とされ、1時間以内の外出なら付けっぱなしのほうが電気代は安く済むという。
「最も有効なのは、契約アンペアの見直しです。すでに子供も成人した夫婦二人世帯であったり、単身世帯なのに大容量の〈50A〉や〈60A〉といった契約をしている人は少なくありません。それを〈30A〉にするだけで基本料金を半額にできるケースもある。契約アンペアを絞れば、複数の家電を同時に使用するなどした際にはブレーカーが自動的に落ちるため、結果的に節電習慣も身に付くようになる」(荻原氏)
一方で電気代のみに囚われては効果が“半減”しかねないと話すのは、前出の山本氏だ。
「昨年12月の全国消費者物価指数(前年同期比)で見ると、値上げ率は電気の約21%に比べ、都市ガスは約33%にまで跳ね上がっています。節電だけでなく、不必要なガスの使用を控えるなどしなければ、出費の抑制に繋がらない家庭も多い」(前出・山本氏)
暖房が不要な季節が近づいているが、電力大手の値上げが始まれば“元の木阿弥”となりかねない。電気代とのバトルは長期戦を覚悟したほうがいいという。
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