「電気代、ホントに安くなってるの?」の声続々 専門家が指摘する料金高騰の裏側と「今日からできるサバイバル術」

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 各家庭に届き始めた2月請求分の電気料金(1月使用料)の明細書を見て、ホッと胸を撫で下ろす人がいる一方で、「過去最高」「値引きされてコレ!?」といった反応も広がりを見せている。今春以降にはさらなる値上げが控えており、SNS上で勃発した“バカ高”電気料金を公開し合う「#電気代バトル」に終わりは見えない。そんななか、私たちに残された自己防衛策とは何か――専門家に聞いた。

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 政府が昨年、閣議決定した「総合経済対策」の目玉である激変緩和措置によって、今年1月分から家庭向け電気料金は1kWhあたり7円が値引きされ、標準家庭(月260kWh)で2割程度安くなったとされる。しかしSNS上には「前月より少し安いけど、例年の倍」や「値引きされても過去最高」などの“悲鳴”が消えない。

 その背景をエネルギー問題に詳しい常葉大学の山本隆三名誉教授がこう話す。

「昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機にエネルギー価格は上昇を続け、発電に占める燃料コストも大幅に増大しました。日本の場合、発電量の3分の2を占めるのがLNG(液化天然ガス)と石炭。欧州では昨年12月の暖冬と消費者の節エネ努力によって石炭と天然ガス価格は下落したものの、それでも侵攻前と比べ、LNG・石炭価格ともに2~3倍程度に高止まりしたまま。侵攻が止まない限り、日本においてもエネルギー価格が落ち着く気配はなく、今後も電気料金の高騰傾向は続くと見られます」

 SNSに上げられた投稿のなかには「7万円」や「10万円」など目を剥く請求額がいまも確認できるが、高額請求の多くはオール電化住宅に居住しているか、あるいは新電力(新規参入の小売り事業者)の契約者とされる。昨秋以降、エネルギー価格の変動に対応した燃料費調整額の上限を撤廃する新電力が増え、燃料費の上昇分をそのまま料金へと上乗せするケースが目立ち始めたからだ。

 それにより、新電力から大手電力への契約切り替えの動きも加速しているが、実はそこにも“落とし穴”があった。

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