ウクライナ侵攻に反対の声を上げないロシア国民の本音 「11年前の反政府デモでは新しいうねりを感じたが、今は……」
広がらない“反政府機運”
親政府系「世論機関」は、政権の取り締まりを気にする回答者が答えやすいようにと、「もし直近の2~3ヵ月の間に、あなたが住んでいる地域で、抗議集会や抗議デモがあれば、多くの人が参加すると思いますか? それとも小規模に止まると思いますか」という問いをつくり、侵攻当初から調査を続けている。
選択肢は(1)「多く参加する」、(2)「それほど多く参加しない」、(3)「誰も参加しないだろう」、(4)「答えられない」の4つ。結果は常に(2)の「それほど多く参加しない」が全体の45%~55%で他を圧倒している。
対して(1)の15~25%、(4)の19~26%が2番目、3番目をそれぞれ行ったり来たりする。(3)の「誰も参加しない」は常に4番目で7~10%で推移している。
親政府系組織の調査なので、政権支持の結果が出やすいが、それでもロシア社会の反政権機運はソ連邦崩壊時のように爆発的に広がっていないことがわかるだろう。
一方の独立系のレバダセンターは、ウクライナ情勢を特定せず「もし政治的要求を主張する抗議運動があったら、あなたは個人的に参加しますか?」という問いかけで、ロシア社会の反戦・反プーチンの雰囲気を聞き出している。
侵攻以来、3度の調査を行っているが、5月の調査では、(1)「参加の可能性あり」が16%、(2)「参加する」は9%。8月には(1)17%、(2)11%、11月には(1)17%、(2)12%といずれも情勢が変化していない。
クロス調査によって、参加派の回答者は反プーチン層に比較的多いことがわかるが、それでも反プーチン層の66%は「抗議デモには参加しない」と答えている。
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