不安に駆られて「抗うつ剤」がバカ売れ…ウクライナ侵攻1年でロシア世論はどう変わったか 昨年9月に激変した理由
「第二の動員令」はプーチン政権を揺るがす
独立系の世論調査機関「レバダセンター」も、定期的にウクライナ侵攻をめぐるロシア人の心情を聞き出している。レバダセンターはプーチン政権が西側諸国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されているが、そうした圧力にも屈せず、精力的に調査活動を続けている。
レバダセンターによれば、回答者は最近、「ウクライナとの戦争に関する質問になると突然、回答するのを控える」傾向が顕著になってきたという。しかし、レバダセンターは回答者が答えやすいようにと、「ギリギリセーフ」な質問事項を用意し、社会の雰囲気を反映する調査結果をいくつも引き出している。
侵攻直後から継続的に行っている「あなたはウクライナで起こっている現在の出来事(※筆者註:“戦争”ではない)を心配していますか」という質問に対して、常に80%以上が「大いに心配」「どちらかと言えば心配」と回答している。
1月23日の調査結果では「大いに心配」が45%で、「どちらかと言えば心配」が39%となり、直近の調査では「どちらかといえば心配していない」「まったく心配していない」の無心配派が15%を切っている。
1月の無心配派の割合は、動員令直後にロシア社会が動揺した9月と10月の結果をのぞき、調査開始以来、最低レベルだ。
ウクライナはNATO諸国から露軍の性能を上回る最新兵器の供与を受け、戦況を有利に進めている。劣勢を打開するために、プーチン政権は初回を20万人超過する、50万人規模の第二の動員令を発令することを画策しているとの予測が各国諜報機関から出されている。
ロシアの社会不安は改善されていない。もし、第二の動員令が出れば、ロシア社会の動揺ぶりは再びピークに達し、プーチン政権にとっても逆風になりかねないだろう。
(以下、「後編」に続く)