日本人女性を愛人にした中東の外交官 本国への帰国命令が出て起きた“情けないトラブル”とは【元公安警察官の証言」】

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警察官の身分を隠し

「本来警察官は、男女間のトラブルに首を突っ込んではいけません。そこで私は友人として、外交官の相談に乗ることにしました。本音を言えば、ここで彼に恩を売っておけば、後々便宜を図ってくれるからです。中東の大使館に新たに情報担当の外交官が赴任すれば紹介してもらえるし、彼の国に出かけた時には、外務省の幹部を紹介してくれると考えました」

 勝丸氏は言い分を聞くことにしたという。

「外交官は日本語ができないので、女性とは英語で会話をしていたそうです。外交官によると女性は簡単な英語しか話せなかったと言いますから、深い会話はできなかったのです」

 勝丸氏は警察官であることは明かさず、外交官の友人として女性と接触した。

「私は彼女に顔は知られたくなかったので、電話で話し合うことにしました。最初に外交官が女性に電話をかけ、私が代わって彼女の話を何回か聞きました」

 女性は、外交官のことをジェントルマンだと持ち上げていた。

「女性が言うには、彼は優しくて、約束してくれたことはきちんと守る人だそうです。レストランで待ち合わせをしても遅刻しないし、プレゼントの約束も忘れたことがなかったとか。それで彼に身も心も許したと。女性は、自分を置いて彼が本国へ帰ったら、大使館に連絡して彼の自宅を聞き出し、押しかけると言っていました。私はそれをやったら警察沙汰になりますよと諭しました」

 だが、いくら女性と話し合っても埒があかなかったという。

「外交官に、彼女に妻と子供がいると正直に話し、弁護士を立てて慰謝料を払いなさいとアドバイスしました。外交官はお金を払いたくなかったようですが、不倫したことが本国の外務省にバレると出世に響くと思い、私のアドバイスに従いました」

 外交官は女性に電話で妻子のいることを伝えた。

「すると彼女は泣き崩れて会話ができなくなり、電話を切ったそうです。その後、私が外交官に弁護士を紹介して示談交渉を行い、彼女に数百万円の慰謝料を払うことになりました。さらに女性とは、本国の外務省や駐日大使館に一切連絡しないとの契約書も交わしたといいます。外交官はモテるのでこういうトラブルは珍しくありません。私は彼に『火遊びすると、高くつくよ』と言ってやりました」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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