日本人女性を愛人にした中東の外交官 本国への帰国命令が出て起きた“情けないトラブル”とは【元公安警察官の証言」】

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。一昨年、『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、日本人女性と不倫した中東の外交官について聞いた。

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 勝丸氏は、外務省に出向してアフリカ大陸の日本大使館に警備担当の外交官として赴任した後、警視庁公安部外事課の「公館連絡担当班」に所属していた。

「公館連絡担当班は、警視庁と各国が東京に置いている公館(大使館、総領事館、政府代表部)との連絡、調整するのが主な任務です」

 と語るのは、勝丸氏。

「メディア関係者からリエゾン班とも呼ばれています。これは連絡将校(リエゾン・オフィサー)からきた造語です。連絡将校は、二つの組織を円滑に連携させるための懸け橋になる存在です。リエゾン班も同じ役割を果たしています」

「婚約者と別れて!」

 日本に滞在している外交官は、トラブルに巻き込まれることがあるという。勝丸氏は、外交官が愛犬をリードなしで散歩させ、犬がじゃれて老人を負傷させたトラブルで、示談を成立させた。また、暴力事件を起こした外交官の息子を更生させたこともある。今回ご紹介するのは、男女間の揉め事である。

「職務上、国名を明らかにすることはできませんが、ある日、中東の大使館に勤務する30代の外交官から相談に乗って欲しいと連絡がきました」

 その外交官は本国に妻子を残し、単身赴任だった。

「大使館が主催したイベントで30歳の日本人女性と知り合い、深い関係になってしまったそうです。女性は美人で、職業は保育士でした」

 外交官は女性に独身だと偽っていたという。

「外交官と女性は、レストランでデートするだけでなく、何度も一緒に旅行へ行ったそうです。外交官はフェイスブックで女性と情報交換もしていて、自身の出身地などもアップしていたといいます」

 外交官は任期が終わり、帰国することになった。

「すると女性は、私も一緒に行くと言いだしたのです。慌てた外交官は女性に『実は、あなたには黙っていたが、本国に婚約者がいるんだ』と言うと、女性から『いつ婚約したの?』としつこく聞かれたそうです。そして『婚約者と別れて!』と迫られたといいます」

 外交官は女性に「実は妻子がいる」とは言えず、困り果てて勝丸氏に相談したというのだ。

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