五輪汚職で逮捕の森泰夫・運営局元次長、“タカリ体質”で有名だった 「規定違反のビジネスクラスで出張」
サッカー観戦も…
その森容疑者、金に関する疑惑が取沙汰されたことも。
「13年のこと。その頃、スポーツ団体で金にまつわる不正が相次いでいたことから、当時の財務委員長が念のためにと、うちの経理も調査してみたんです」
とは、別の陸連関係者だ。
「すると、森がリオデジャネイロやケニアに出張した際、規程に反してビジネスクラスを使い、エコノミーと比べて140万円近い無駄遣いをしていたことがわかった。また、現地では経費でサッカー観戦や観光をし、クリーニング代も計上していたことが発覚。さらには、1年間でタクシーを250回使用していたことも……」
財務委員長は調査結果を文書にまとめた。そこには「大名旅行」「不正使用」「私物化」といった厳しい言葉が並び、「このまま何事もなく終わってしまえば『マスコミへ』と情報漏洩につながっていく可能性も」とも指摘されている。
関係者が続ける。
「打ち合わせの合間に行った喫茶店のコーヒー代まで請求し、ひんしゅくを買っていました。文書には当時の専務理事・尾縣(貢)さんや、事務局長の風間(明)さんの経費使用の問題点についても記されています。文書は後に流出し、内部で広く知られることになりましたが、彼らが処分されたとの発表はありませんでした」
当時の財務委員長に聞くと、
「文書にまとめたのは事実。ただ、“以後はしません”という話になって……」
と言葉を濁す。
「どこかでタガが外れてしまったんでしょう」
この時きちんと処分していれば、森容疑者が五輪に関わることもなかったに違いない。ちなみに尾縣氏は現在、陸連の会長、風間氏は専務理事を務めている。
日本陸連に聞くと、
「文書が作成され、理事等に共有されたことは認識しております。規程等に則って判断し、必要に応じて対応しました」
と述べる。
陸連で専務理事や副会長を務めた、順天堂大学の澤木啓祐・特任教授は言う。
「森は非常に優秀でしたが、どこかでタガが外れてしまったんでしょう。しかし、文書が出た時にきちんと対処していればねえ……」
日本で五輪が開催される日は二度と来そうにない。