「荒木2世」の呼び声も…“小兵ルーキー”田中幹也は新生「立浪中日」の象徴になるか
「個人の力がないと、試合には出られない」
これらの欠点を解消するための「右足を内に入れない」「左足の着地を我慢」「左足を強く着かずにスピードを殺さない」という連立方程式の解を探るために、その“緩い特守”を連日行っているというわけだ。
「そこ、難しいんですけどね。うまい人は、バウンドが合わなくても、ボールが吸い込まれるようになるんです。でも自分はまだ、合わないときには手足でカバーしてしまっているんです」
その弱点を自覚しながらも、田中の動きは実に光っている。
シート打撃でスタンドから拍手が沸いたシーンも、遊撃前の緩いゴロに対し、すばやく前進して捕球すると、ジャンピングスローで一塁へストライク送球を見せた。一連の、流れるような動きには「さすが」と思わせるだけのものがある。
阿部、京田がいなくなった内野陣は、一塁のビシエドを除けば、それこそ3ポジションが未定の状態だ。立浪監督は田中、村松、龍空を二塁、遊撃にあてはめていく方針を固めているようで「田中は二塁も遊撃も両方できますからね」と両にらみであることも示唆した。
田中は打撃でもしぶとさを見せており、2月5日のシート打撃では“プロ実戦初打席”でいきなりレフトオーバーの二塁打を放ち「パッと打ってビックリした」と立浪監督。思わず田中に対して「長打は期待していないぞ」と笑いながら語りかけるシーンもあった。
「体は小さいけど、ミート力もある。彼に求めるのは、何でもできること。プロに対応することです」と立浪監督。背番号「2」はかつての荒木コーチの背番号だ。守って、しぶとくつなぐ打撃といえば、それこそ「荒木2世」の働きが、期待される田中の未来像だろう。
「個人の力がないと、試合には出られない。自分がうまくなることを考えなくてはいけない」という負けん気もプロ向き。最下位からの巻き返しを誓い、生まれ変わろうとしている立浪ドラゴンズの“象徴”になる可能性が大だ。
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