「荒木2世」の呼び声も…“小兵ルーキー”田中幹也は新生「立浪中日」の象徴になるか

スポーツ 野球

  • ブックマーク

課題は“衝突”するクセ

 田中も村松も連日のように、荒木雅博・1軍内野守備走塁コーチからマンツーマンでの指導を受けている。ただ、かつて現役時代の荒木コーチが当時の落合博満監督から受けたような、数時間にもわたる激しいノックではなく、基礎中の基礎の段階でもある。

 荒木コーチが緩く転がした球に対して、足の運び、グラブの出し方を一つ一つ、その動きを細かくチェックしていくという、単調ではあるが、丁寧で丹念な練習だ。

「課題としては“衝突”するクセ、弱点を直していきたいんです。スピードがある分、どうしても“衝突”してしまうんです」

 この田中の言葉には、少々解説が必要だろう。亜大4年春には、1試合6盗塁をマークしたこともある脚力とスピードが田中の最大の魅力だ。ゆえに三遊間、二遊間の深いゴロでも、素早く追いつけてしまう。

 足のさばきに伴って「右膝が内に入ってしまう」というのが、田中自身も気づいている欠点なのだという。例えば、二遊間方向への打球を追うときのことだ。球に追いつこうとする上半身の伸びやそのスピードに下半身の動きが負けてしまい、右膝が体の内側へ折れてしまうことがあるのだ。

 必然的に「左足を強く地面に着いてしまう原因になる」。そうすると、左足で強く地面を踏ん張ってしまうことで、体に“つっかえ棒”が刺さったような状態になる。動きに余裕がなくなってしまい「バウンドが合わなかった時に対応ができない」と田中は自己分析する。

 それを荒木コーチからは「奥行きがない」と指摘されているのだという。いわゆる“懐の深さ”がないというわけだ。

次ページ:「個人の力がないと、試合には出られない」

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。