「荒木2世」の呼び声も…“小兵ルーキー”田中幹也は新生「立浪中日」の象徴になるか

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天国から地獄

 昨季までの二塁のレギュラー・阿部寿樹を楽天・涌井秀章と、遊撃のレギュラー・京田陽太をDeNA・砂田毅樹とそれぞれ交換トレード。チームの中心選手ともいえる2人の野手の放出に関しては、疑問を挟む外野の声は実に大きかった。

 それでも、立浪監督が“大なた”を振るう決断に至った最大の理由について、複数の球団関係者が共通して語ってくれたのは、2人が「チームバッティングができないこと」だったという。

 2002年から11シーズン連続Aクラス、リーグ優勝4度、日本一も1度という黄金期を築きながら、2013年から昨季までの10シーズンでBクラス9度。まさしく、天国から地獄。どん底まで落ち込んだ弱小チームの“ぬるま湯”ともいえるムードに、主力たちはいつの間にか浸り切ってしまっていた。

 走者を塁においての右打ち、あるいは進塁打。その自己犠牲が、勝つための戦略には不可欠だ。しかし、低迷するチームにおいて「勝利」という目標から遠ざかると、その意識がどうしても、薄れてしまう。

 阿部も京田も、個人成績だけを取れば決して悪くない。ただ、その目に見えないプレーの部分で、指揮官は不満を募らせていたという。

 京田には「戦う顔をしていない」と試合中に途中交代を命じるなど、厳しい言葉とその起用法で、チームリーダーとしてのやるべき自覚を促し続けたこともあった。

 しかし、それが伝わり切らないと、指揮官は判断したのだろう。チーム作りの根幹ともいえる「センターライン」にメスを入れるというドラスティックなチーム改革で、二遊間をいったん“空白”とし、ここに新たなる戦力をはめ込もうとしている。

 その有力候補が田中であり、ドラフト2位指名の村松開人=明大=であり、昨季終盤から遊撃を務める3年目の20歳・龍空(近江高出)の若手内野手たちである。

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