「荒木2世」の呼び声も…“小兵ルーキー”田中幹也は新生「立浪中日」の象徴になるか

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「守備はプロの中に入っても見劣りしないレベル」

 シート打撃の「守備」で、球場中から拍手が起こるというのも珍しいシーンだろう。

 それは、キャンプにまで足を運ぶ熱心な野球ファンたちが「うまい」と認めた証拠でもある。その称賛の的となったのは、一人の小柄なルーキーだった。

 中日のドラフト6位指名・田中幹也は、身長1メートル66。屈強な先輩たちに囲まれると、その輪の中に埋もれてしまうほどだ。その小兵がショートの守備位置に入ると、躍動感に満ちあふれたプレーを見せるのだ。

「守備は、プロの中に入っても見劣りしないレベルですね。予想通りにここまでは来ています。小さいし、目につきますね。まだまだ、もっとうまくなりますよ」

 そう語る立浪和義監督は、NPB歴代8位の通算2480安打を放った『打』の職人であると同時に、二塁手で3回、遊撃手、三塁手でそれぞれ1回ずつの計5回、日本プロ野球史上初の3ポジションで「ゴールデングラブ賞」を獲得した守備の名手でもある。

 その指揮官が、昨秋のドラフト会議前に神宮球場へ自ら視察に出向き、亜大・田中の守備力に高い評価を下したことで、中日は田中の指名に乗り出した。

 田中は大学3年夏、国指定の難病「潰瘍性大腸炎」で大腸を全摘出。そのスピードと守備力は、ドラフト上位候補の前評判もありながらも、他球団が指名を見送ったのは、そうした大病の経緯を懸念したことが大きな要因でもあった。

 それでも、中日には二遊間を務める即戦力の内野手が必要だった。

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