浜ちゃんはセーフで渡部はアウト? あいまいな判断基準によって芸人の妻に負わされる重責

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吉本芸人に根強かった「鬼嫁」ネタと不倫スキャンダルの相性の良さ 転換期となった千鳥のやり取り

 思うに、ある時期までは吉本芸人による、「鬼嫁」ネタと不倫の幕引きというのは相性が良かったのだろう。かつては宮迫さんが筆頭だったが、サバンナ八木さんやミキ昴生さんなど、「鬼嫁」ネタを得意とする吉本芸人は多い。2丁拳銃の川谷さんの妻である野々村友紀子さんといった、「鬼嫁」キャラでブレークした人もいる。

 何をもって謹慎に値する罪とするか事務所の判断基準があいまいなため、スキャンダルをどう罰するかという基準もあいまいだった。そもそもしょせんは家庭内の問題であって、奥さんが納得していれば他人がどうこう言える筋合いではない。

 だから不倫報道が出た際は、社会人としての制裁ではなく、家庭での制裁をもってみそぎを済ませるという形式が定着していたのではないだろうか。「鬼嫁からキツく怒られた」エピソードがお披露目されて初めて、「奥さんが許したのならいいか」という共通認識をお茶の間で作ることができる。少なくとも、10年前まではそれが通用していた。

 ただ数年前から少し風向きが変わってきた。「奥さん下げってダサい」「奥さんに無理やり言わせているだけでは」、そういった反応も出るようになってきたように見える。

 ゆえに引導を渡す相手は、妻から相方に移った。「公開説教」の流れだ。印象的なのは2017年、大悟さんの不倫報道の時のノブさんの対応である。大悟さんは旧来の「鬼嫁」セオリー通り、激怒された上に「死ぬ気で笑いに変えてこい」とプレッシャーをかけられたと笑いを取った。しかしノブさんはそこに乗っからず、「笑いにするのはよくないと思う」「僕が責任をもって謹慎させます!」と答えたのだ。こうした常識的な発言によって、ダメージを最小限に食い止めたのではないだろうか。

 ちなみに大悟さんはこの件で謹慎していない。それどころか、ノブさんの発言でコンビの好感度は上がったようにも見える。なお不倫ではないが、相方が淡々とつるし上げることで復活を遂げた芸人といえば闇営業の時のロンブー・亮さんや、女性蔑視発言のナイナイ岡村さんが思い浮かぶ。一方、相方からの公開説教を待たず、個人で弁明を先に行った宮迫さんや渡部さんはむしろ炎上している。

浜ちゃんの好感度と松ちゃんの芸風との綱引き? 鬼嫁でも公開説教でもない第三の道はあるのか?

 だとすると、浜ちゃんの今後に大きく関係するのは相方の松ちゃんというところなのかもしれないが、以前から浜ちゃんの不倫は茶化してきた人だ。そもそも彼自身、お利口なことを言わないアウトローキャラで愛されてきた。思ってもいない奇麗事で相方を救っても、と考えるのではないだろうか。いわば浜ちゃんの好感度と、松ちゃんの芸風との綱引きという局面かもしれない。二人とも売れっ子だし、この程度のことで騒ぐのもバカらしいと思っていても驚かない。

 吉本ではついこの間まで、兼近さんの過去にまつわる騒動があったばかり。矛先が変わって会社としてはホッとしているかもしれないが、度重なる所属タレントの炎上対応策は注視されていることだろう。鬼嫁でもなく公開説教でもなくケツバットでもない、松ちゃんならではの斬新な決着のつけ方が出てくるような気もしている。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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