パンダの離乳食は「タケノコ」だった 日本人が知らない「パンダの秘密」
「オスのパンダは甘えん坊【パンダの知られざる素顔】」で紹介した通り、パンダが発情して繁殖できるのは1年に1回だけ。
さらにメスに限っていうと、交配可能な状態になるのはたった2~3日だけ、という激レアなタイミング。パンダの発情についてはまだまだ未知の部分も多いという。
飼育下でも野生でも、パンダは春に発情することが多く、それにはまことに理にかなった理由があるそうで……『知らなかった! パンダ―アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ―』から紹介する。
春に発情するのにはワケがある
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ毛が生えそろっておらず、すぐに体温が下がってしまいます。お母さんは出産直後からすぐにしっかり抱きしめたり、なめたりして温めつづけます。
野生のパンダも春に発情し、8~9月に出産します。この時期の子育ては、小さく生まれてくる赤ちゃんの体温維持などのお世話や、授乳のために母体がより良質な竹を食べるのにも最適な時期です。
調査データ(『2019年ジャイアントパンダ血統登録』)によると飼育下では8~9月生まれが全体の65%、さらに6~9月生まれは93%を占めています。
しかし、アドベンチャーワールドではめずらしい冬の出産を4例経験しています。2001年12月17日(雄浜=ゆうひん)、2006年12月23日(愛浜=あいひん・明浜=めいひん)、2014年12月2日(桜浜=おうひん・桃浜=とうひん)、2020年11月22日(楓浜)。飼育下だからこそ無事に育っていますが、野生でこの時期に生まれた赤ちゃんは厳しい冬を乗り越えることはできないでしょう。このうち楓浜以外の3例は、実は梅梅(めいめい)や良浜が夏から初秋に発情したという点でもめずらしいケースでした。
一般的には、春に発情して8~9月ごろに出産――というサイクルは、理にかなっているといえます。
野生での子離れは1歳~2歳未満。子離れすると母体はまた妊娠が可能な状態になりますから、順調であれば2~3年おきぐらいに出産していると考えられます。
※『知らなかった! パンダ―アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ―』より一部を抜粋、再編集。