日本に1台しかない「レクサス」を盗まれた男性の告白 オークションサイトでパーツが売られているのを発見、販売していた解体業者を突き止めるまで
ヘッドライトに映り込んでいた“ヒント”
一方、被害男性から相談を持ち掛けられた知人は、盗難車両のパーツがオークションサイトに出品されないか目を光らせていた。そして、2月中旬、この知人が出品ページで“ある写真”を見つけたのだ。
「最初にアップされたのはホイールの写真でした。ひと目見て分かりましたよ、傷がいくつか増えていましたが、盗まれた車と同銘柄のホイールで、バルブ(空気注入口)と製造年月日の表示位置が一致し、さらに、製造年と製造週まで同じでした」(被害男性)
だが、盗難された車両の写真と、オークションに出品されたパーツの写真を警察に持ち込んだものの、それだけでは証拠として弱いと判断されたのか、捜査はなかなか進まない。そこで、被害男性たちは他のパーツが出品されるのを注意深く待ち続けた。すると、今度は“ヘッドライト”の画像がアップされたのである。こちらも盗難車両と特徴がピタリと一致する。それどころか、画像には意外な“ヒント”が残されていた。
相談を受けた知人が振り返るには、
「出品されていたヘッドライトの画像は屋外で撮影されていました。そのヘッドライトに反射する格好で、撮影した人物と背景が映り込んでいたんです。しかも、背景の一部には特徴的な形状の建物があった。私が経営する会社は自動車関連のイベントを手がけていて、大規模な展示場になりそうな場所をGoogleマップで探すことが少なくありません。そこで、出品ページに記載された出品者の大まかな発送元住所をもとに、社員と一緒にGoogleマップで手分けして探すと、2時間ほどでそれと同じ建物を割り出すことができました」
ヤードからは大量のパーツが……
ネット上の画像に残されたわずかな手がかりから、盗難車両の行方を探し当てるとは、もはや“サイバー捜査”の域であろう。
知人から報告を受けた男性は、地元の警察に連絡を取り、すぐさま三重県内にある自動車解体業者のところへ向かった。被害男性はその時の様子をこう語る。
「自動車を解体するヤードからは、私の車のパーツが次々に発見されました。車体は前後を真っ二つに切断されていて酷いものでしたよ……。警察と一緒に車台番号を確認すると、削り取ろうとした痕跡があったものの、どうにか判別することができて、最終的に私の車だと確認されました。業者側に尋ねたところ、“スタッフが大阪の業者から40万円で購入したもので、盗難車両とは知らなかった”とあくまでも“善意の第三者”という主張でした。ただ、私が大事に扱ってきた綺麗な車体で、しかも、ほぼすべてのパーツが揃った状態。その上、車台番号を削り取ろうとした痕跡まであるのだから、業者側としても“盗難”を疑うのは当然だと思います。ヤードの入り口には、地元の市議会議員の後援会連絡所と書かれた看板が置かれていた。まさか、市議さんが盗難車の売買に絡んでいるとは思えないのですが……」
その後、この車のパーツはオークションサイトで出品停止となり、警察署で保存することになったという。
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