「狛江90歳女性殺害」捜査関係者が明かす「狙われた理由」 「闇名簿」に名前が載る基準は?

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実際にオレオレ詐欺の電話が…

 さらに、神奈川県の80代の女性にも接触すると、驚くべき体験談が。

「一昨年の9月ごろですかね。オレオレ詐欺の電話がかかってきたんです。あとから知ったのですが、うちだけではなく同じタイミングで、近所に住んでいる方の家にも同じような電話がかかってきていました」

 実際に特殊詐欺の標的にされたと言うではないか。

 この女性によると、彼らの手口は以下のようなものだったという。

「表示されたのは知らない番号でした。でも“市の方から還付金がもらえる”と言われ、つい真に受けてしまって……。それで“どこに行けばいいですか”と聞くと“いつも使っている銀行はどこですか”と質問されて『○○銀行』と答えました。そしたら“近くの○○銀行まですぐに来てください”と言われました」

 かくて危うくワナに引っかかりかけたが……。

「庭にいた主人に“市からお金がもらえるって”と声をかけたんです。それを、隣に住んでいる神奈川県警の警察官の方がたまたま家の中から耳にされた。その方が“それはオレオレ詐欺だから行っちゃいけない”と知らせてくださったんです。それで110番して警察に通報しました」

 どうにか運よく難を逃れたのだった。しかし、女性にはなおもどこからか怪しい手が伸びてきた。

「同じ年のクリスマスごろ、またオレオレ詐欺の電話がかかってきました。その際に“最近、こういう電話があってウチは警察を呼びました、詐欺じゃないんですか”と言うと、電話はすぐに切れました。防犯対策として気を使っているのは、電話でも余計な内容を言わないこと。なるべく電話も出ないようにしています」

グーグルマップで…

 元警視庁刑事で、防犯コンサルタントの吉川祐二氏はこう語る。

「いわゆる『闇名簿』は一般的に、売られている名簿をもとに、詐欺師がブラッシュアップしていくことで作られているケースが多いですね。個人情報保護法の制定以来、学校で名簿の類(たぐい)が作られなくなっているせいで、総体として名簿自体は減ってきています。ただ、高額所得者や高額納税者、通信販売での高額購入者、高級車の購入者などのリストは今も公然と取引されています」

 詐欺師や窃盗犯、強盗犯らの間でそうしたリストは更新され、より磨き上げられていくという。

「たとえば高額納税者のリストがあるとします。彼らはそこにある相手に電話して“年収1千万円以上の方にご連絡させていただいております。インタビューにご協力いただけませんか”などと資産状況について探りを入れていく。“お答えいただいた方には商品券を差し上げます”と言われれば、話してしまう人もいるでしょう。実際に商品券が送られてくることなどないにしても、です」

 こうして現在の資産状況や家族構成、生活レベル、行動様式などについての情報が、まんまと吸い上げられていくワケである。

 また、過去に窃盗などに関わったことがある人物は、こんなふうに証言する。

「ターゲットに目星をつけるのは随分簡単になった。名簿にある住所をグーグルマップに打ち込んで、画像情報で周囲や外観を確かめる。ここは高級外車が置いてあるといった見た目から資産状況の一部を探れる。その昔は刑務所が情報交換の場だった。窃盗犯や強盗犯同士、雑居房の片隅で膝を突き合わせ、互いの情報をやりとりした。それが今じゃSNSや通信アプリを使って匿名で情報交換ができるから、格段に安全で楽になったよね」

 効率、スピード、確実性。彼らにとってネットの進化は便利、有利なことばかりだ。ならば、どうやって魔の手から逃れればいいのか。

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