有名局アナが異業種へ続々転職…TBSでアナウンサー人生を貫いた「吉川美代子さん」が語る“昔と今の違い”

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テレビを見ない時代

吉川:30歳くらいの時に他局からお声がかかったことはあります。でも私は、報道をやりたくてTBSに入社し、20代後半でTBS初の女性ニュースキャスターと呼ばれるようになって、それをまっとうしたいという気持ちがありました。政治部にも籍を置いていたので、記者クラブに在籍しながらキャスターを務めました。それはフリーではできないんです。そういうこともあって、続けられたんだと思います。

――では、アナウンサーを辞めようと思ったことは?

吉川:ありましたね、やっぱり。TBSは報道番組がメインなのに、そこへ元NHKだとか他局からアナウンサーを持ってこられて「なんだ!」と思ったことはありましたよ。でも、私はTBSが好きだったので、他のセクションに異動してアナウンサーでなくなってもいいと思ったこともありましたね。

――もっとも最近は、アナウンサーを目指す側にも問題がないわけではない。

吉川:テレビ業界に入りたいという今の若い人って、あまりテレビを見てない人が多いんです。ですから、放送業界への憧れだとか、会社や番組への愛情とかがないんでしょうね。入社試験の面接で「TBSの番組は見たことがありません」と言う人も少なくありません。「日テレは見てました」「フジテレビは見てました」なんて子もいますけど、詳しく聞くと、そんなに真剣に見ていたわけでもない。「お笑い芸人の誰々が好きだから見ていました」という程度では……。

――何処も同じということか。

吉川:テレビを見ない若い人に見てもらおうと、テレビ局は必死になっているわけです。“若返り”が合言葉のようになっていて、出演者も若返らせようとしている。だから、ベテランアナウンサーはすぐに切るし、コメンテーターもどんどん若返らせようとしています。どの番組もそうなっている。若い人のコメントは身近な話ばかりになりがちですから、地上波はどんどん軽くなってしまうかもしれません。今はBSのほうが大人向けの番組を作っていますよ。

――局アナはどうすればよいのだろうか。

吉川:どの局にも何人かは、たとえ生中継で何があってもバーンとできる、技術を持ったアナウンサーがいてくれないと困る。そういう凄い人がいると、その人を目標に頑張る人も出てくると思うんです。なかなかそういう人は少ないし、そういう人が会社を辞めてしまう時代なんです。

デイリー新潮編集部

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