大活躍の三笘の移籍先はどこになる? 評価額高騰の背景には、クラブオーナーの慧眼と独自の統計学が

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高く売って運営資金に

「近年、プレミアリーグの各チームは投機対象のようになっていて、ブルーム氏はポーカーで財を成し、2009年にブライトンを買収したのです」

 と話すのはサッカージャーナリストの利根川晶子さんだが、こう補足する。

「日本では、ポーカーというと、あまりよく受け止められない傾向にありますが、ヨーロッパではマインドスポーツとも呼ばれ、クールでポジティブな頭脳プレーのイメージが強い。中にはテレビ中継される大会もあって、お金こそ賭けるものの、日本の囲碁将棋のイメージに近いと思います」

 そんな中でもブルーム氏は、志が異なるとか。

「ブライトンを買収した際、ブルーム氏は“投機目的ではなく、クラブへの愛があってのことだ”と発言。事実、彼は祖父がブライトンの副会長を、父親も役員を務めた家系に育ち、根っからのブライトンファンです。そして、3部で戦うようなパッとしないチームだったのが、ブルーム氏が練習場を整備するなどテコ入れし、徐々にチームの力が上がって、プレミアまで登りつめたのです」

リヴァプールに移籍か?

 とはいえ、「ギャンブラー」たるブルーム氏が「愛」を具現化する方法は、

「独自の統計学をベースに、素質に恵まれながら安い選手を買い、育てて高く売り、それをクラブ運営の資金源にする」(利根川さん)

 というもの。となると当然、三笘が8月に始まる来季までにどこに移籍するか、みな注目することになる。

「ブライトンへの移籍金が3億9千万円だった三笘の最新評価額は約80億円(5千万ポンド)。ブルーム氏にすれば、今季が終了する5月までに三笘にもっと活躍してもらい、移籍金がさらに上がったところで、夏までに移籍させたいともくろんでいるはずです」

 と渡辺氏。移籍先は、

「選手層が薄いリヴァプールに移籍するのではないか、とささやかれていますが、チェルシーもリーグ優勝したいなら、三笘は補強したい選手。リーグ4番手のトッテナム・ホットスパーや、現在首位のアーセナルが、さらなる強化を目指して獲得に動くかもしれません」

 ギャンブラーに見いだされ、三笘獲得のギャンブル的要素は、どんどん薄らいでいるようだ。

週刊新潮 2023年2月16日号掲載

ワイド特集「栄華と零落の境界」より

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