パンダが「丸顔」になった予想外の理由 日本人が知らないパンダの秘密

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竹を食べたらこうなった――パンダならではの特徴

 パンダの腸は、ライオンなどの肉食動物よりは少し長いけれど、ウシやウマなどの草食動物に比べるとかなり短いです。竹の繊維質な葉、固い茎から栄養を吸収しながら腸を守るために、内部には潤沢に粘液が分泌されます。パンダのうんちは、噛みくだかれた葉や茎のかたまりがそのまま出てくる感じですが、まわりが腸粘液でコーティングされていっしょに排泄(はいせつ)されます。

 アドベンチャーワールドのパンダたちは、1年に1回あるかないかですが、粘液便といわれるうんちをします。これは、腸粘液だけがかたまって出てくるもので、ブヨブヨしたお餅みたいだったり、ゼリー状、あるいはスライム状で、ネバネバした感じだったり。色は透明または白みがかっている、あるいは、うんちがまじって黄土色をしていることもあります。

 この粘液便を排泄する前、何も食べなくなって、とてもおなかが痛そうに苦しみます。これは、粘液だけがおなかの中にたまってしまうからです。

 出産前後や成長期などで、食べる竹の量が足りないときに粘液便になりやすいようです。

 粘液便を出すということは、竹を食べる量が少ない証拠なので、私たちはパンダがおいしい竹を常にたくさん食べられるように気をつけています。

 さらに、長い年月をかけて体も変化しました。

 丸みのある顔ですが、頭蓋骨の頭頂部はとがった感じの三角に近い形をしています。竹を食べるようになって――繊維質で固い葉を咀嚼(そしゃく)し、茎や枝を噛むために、アゴの骨とそれを動かす筋肉が発達していって、丸い顔になったのです。

 前肢の5本の指は同じ方向を向いていますが、竹を手でつかんで食べやすいように、手首の付け根の骨が、肉球もあるふたつのコブに発達しました。「橈側種子骨(とうそくしゅしこつ)」と「副種根骨(ふくしゅこんこつ)」です。それぞれ、「第6の指」、「第7の指」と呼ばれています。

 それらの指で、器用に竹をにぎって口に運ぶことができるのです。

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