ダルビッシュ“WBC代表先乗り”に大谷への「対抗意識」 「両雄」並び立つのか、合同トレで感じた嫉妬心とは

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大谷の引き立て役では終わらない

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表合宿が2月17日に宮崎市内でスタートした。MLB勢でただ一人、参加したのが代表最年長のパドレスのダルビッシュ有投手(36)だ。合宿に先立ち、この年齢では異例の6年総額1億800万ドル(約142億円)で契約延長。さらには小型ジェットのチャーター機で宮崎入りした。

 合宿初日は報道陣がその一挙手一投足を追うなど、大谷翔平(28)不在の代表で別格の存在感を見せつけた。「ダルの代表先乗りは、その登場の仕方からして大谷への対抗意識にも見える。MLBで長く成績を残している点や、五輪を含め日本代表での実績は大谷より上で、その自負はあるだろう。大谷の引き立て役に終わるつもりはないはず」とは元WBC日本代表コーチの言葉だ。【球人ニキ(たまんちゅにき)/野球ライター】

 日本が2連覇を果たした2006、09年大会はイチロー(当時マリナーズ)が強烈なリーダーシップでチームを牽引した。まさに「イチローの代表」だった。

「今回は大谷とダル中心のチーム。投打に渡るプレーで引っ張るのが大谷、ダルは大一番での先発や、自身が登板する試合以外でも他投手の技術、メンタルのケアなどでも指導役として期待したい。年齢も違うし、投手専任と二刀流と役割も違う。かつて練習を共にした仲でもあり、共存していけるのではないか」(同元コーチ)

 日本代表の栗山英樹監督との日本ハム時代の師弟関係によって、早くから代表入りを希望していた大谷に対し、ダルビッシュは当初、公式戦への負担の大きさなどを理由に慎重だった。しかし、昨年末にいざ代表入りが決まると、献身的な姿勢を前面に出していった。

「栗山監督には先発でもリリーフでも『何でもやります』と志願した。パドレスと長期契約を結んだことで将来は安泰。調整もパドレスから一任されているとはいえ、なかなかできる自己犠牲ではない。合宿前には『戦争に行くわけじゃない』と若手選手が気負いすぎないよう配慮もし、自分にしかできない役割を果たそうとしているようだ」(元NPB球団監督)

“人生設計”から1年遅れのMVP

 ダルビッシュは09年大会の準決勝、決勝で先発の座を明け渡し、リリーフに甘んじた。韓国との決勝では胴上げ投手にこそなったものの、本来の役割ではなかっただけに、不本意な思いも残った。今回こそチームのど真ん中で覇権奪回に導く決意だ。

 WBCへの思いの強さでは大谷も負けてはいない。13年大会は故障で出場を断念。その後、日米両球界でMVPに輝くなど、今まさに選手生活のピークで初出場を果たそうとしている。

「高校時代に書いた“人生設計シート”には23歳でWBC日本代表、27歳でWBC日本代表MVPと記すほど、WBCには思い入れが強い。メジャー移籍後はエンゼルスでプレーオフに進んだことがなく、日本ハム時代以来、久しく短期決戦の緊張感を経験していない。このプロセスはイチローに重なるだけに、WBCで勝利に飢えた気持ちが爆発するかもしれない。エンゼルスからの制約でリリーフはできないことになったが、先発投手と指名打者で(人生設計シートからは)1年遅れのMVPにも期待したい」(前出の元コーチ)

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