「戦死率は一般兵卒の2倍以上」――世界大戦で貴族たちを襲った「ノブレス・オブリージュ」の悲劇
戦争になれば、金持ちや権力者は安全地帯から高みの見物、最前線に立たされるのは庶民出身の一兵卒ばかり……現代ではそのようなイメージがあるが、かつては必ずしもそうではなかった。
たとえばイギリスでは、軍務は「高貴なるものの責務(ノブレス・オブリージュ)」という考え方が根づいており、第1次世界大戦の際には、貴族たちが率先して最前線に赴き、その死亡率は一般兵卒の2倍以上だったという。
歴史家の君塚直隆さんの新著『貴族とは何か――ノブレス・オブリージュの光と影』(新潮選書)から、第1次世界大戦でイギリス貴族たちが味わった悲劇を紹介する。...