“最後のドン”自民党「二階俊博」元幹事長が84歳に 現役続行の裏に「悩ましい引き際」
自民党の二階俊博衆院議員が2月17日、84歳の誕生日を迎えた。当選回数13回を誇り、歴代最長となる1885日間に亘って党幹事長を務めた、自民党随一の“ドン”のバースデーは毎年、自民党関係者や関係のマスコミが、誕生日パーティーを催すのが習わしとなっている。今年は党本部で前日に、民放、大手紙計17社の番記者が、二階氏の生誕を言祝いだという。めでたい話の一方、地元和歌山では、次の衆院選で選挙区が3から2に減区となることが決まっており、足元は穏やかではない。現役最高齢の国会議員が見据える先とは。
頭脳明晰
二階氏は、1939年和歌山県生まれ。1975年に和歌山県議会議員選挙に初当選し、2期を務めた後、1983年の衆議院総選挙に自民党から立候補、国政進出を果たす。以来、連続当選を続け、2021年に自民党幹事長という要職を離れた現在もその存在感は大きく、未だ押しも押されもせぬ自民党きっての重鎮だ。
その一方で、かねてより指摘されているのは、高齢の影響なのか、たまに垣間見えるという気がかりな言動の数々だ。自民党関係者が言う。
「本気なのか冗談なのか、この頃の二階さんはエピソードに事欠きませんよ。聞いたことを直後に何度も聞き返す、なんていうのは日常茶飯事で、党本部ですれ違った小泉進次郎衆院議員を、父親の純一郎氏と見間違えたのか「総理」と呼んだとか、党本部一階のロビーに貼られている岸田総理のポスターに挨拶する姿を目撃したと騒ぐ人も。でも、もちろん、職務はきちんとこなしているし、スイッチが入った時の二階さんは頭脳明晰。状況を的確につかんで、立ち回るその姿は、幹事長時代とまったく変わりません」
削がれる影響力
その手腕が遺憾なく発揮されたのが、昨年行われた、地元・和歌山の県知事選での候補者選びだったという。地元関係者が言う。
「和歌山県選出の参院議員で経産相も務めた世耕弘成氏が、地元での覇権を奪うべく、自ら探してきた人物を立候補させようと動いたのです。自民党和歌山県連もその候補者で納得し、和歌山3区選出で、県連会長である二階さん自身も“それが県連の判断なら”と認めたのですが、ここからが凄かった」
実はこの知事選には和歌山1区選出の国民民主党の衆院議員・岸本周平氏が、先に立候補を表明していた。
「二階さんは、和歌山県連ではなく、町村会という、県内の町長、村長らが集まる組織に働きかけ、その岸本氏を応援するように裏で指示。党本部はこの動きを見て、世耕氏側の候補者への推薦をストップさせた。というのも、町村会が世耕氏が推す候補を応援しないとなると、負ける可能性がありますからね。結局、岸本氏を自民党推薦候補として知事選に出馬させ、当選したのです。これによって世耕氏の地元での影響力は削がれ、二階さんの影響力が増すことになりました」
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