「日銀新総裁」人事をめぐるミステリー 植田氏は首相の意中の人か? 雨宮氏は固辞したのか?
あるオフレコの話
アベノミクスを主導し、過去最長となる約10年にわたって日銀総裁の座にあった黒田東彦氏(78)の後任に、東大名誉教授の植田和男氏(71)が決まった。学者出身の総裁は戦後初とされるが、それ以上に植田氏の起用は大きなサプライズだった。事前には有力候補とされる人物に「政府が就任打診」との報道もあった、総裁人事をめぐるミステリーについてレポートする。
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「日銀総裁が誰になるかは永田町や霞が関のみならず、様々な業界で一大関心事でした。当然メディアはそれをスクープしようと目論んでいたわけです」
と、政治部デスク。候補としては、雨宮正佳日銀副総裁、中曽宏前副総裁、山口廣秀元副総裁らの名前はあがるものの、決定打となるような報道はなかなか出てこなかった。
「今となっては、になりますが、総裁を決めるのは岸田文雄首相であり、首相がなかなかその胸の内を明かすことはなかったので、人事が漏れなかったということになるでしょうか」(同)
そんなデスクが振り返るのが「あるオフレコの話」だ。
植田氏ではない学者
「1月の半ばごろのことですが、ある自民党幹部が総裁人事に触れて、“今あがっている人たちは選ばれない”と言っていました。学者であることも匂わせていて、これも今となっては、になるのですが、この幹部は人事の中身を知っていたのかなぁという気がするんですよ」(同)
とすると、それが植田氏を指していたということなのだろうか。
「どうもそうではなく、“植田氏ではない学者”だったと聞いています。ただ、この自民党幹部は岸田首相からダイレクトに総裁人事を明かされるような間柄ではないので、誰かからのまた聞きだとは思われます」(同)
そんな中、口火を切ったのが日経新聞だった。2月6日、「政府が雨宮氏に就任を打診」と報じたのだ。
「“打診って何なんだ?”と思ったのは、何も我々だけじゃなかったのではないでしょうか。打診されてとしてそれを受諾したのか否か確認してから報じればよいのに、いや普通はそうするよなぁ……ということで、それはともかくとして各メディアは裏どりに走ったわけです」(同)
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