“松坂監督”招聘へ、西武のウラ工作 蜜月アピールのカゲに“黒歴史”と致命的欠陥

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OB会がないことが主力流出の遠因

 こうした経緯を踏まえ、中日で戦力構想から外れた19年オフに、14年ぶりの西武復帰に至った。1年契約で年俸は3000万円に過ぎなかった。

 松坂復帰で中心的役割を果たしたのが19年1月から現職に就いた渡辺久信ゼネラルマネジャー(GM)だった。

「監督経験もあるGMは、かねてOBとの関係を軽視してきた球団の姿勢に疑問を抱いていた。FA移籍が常の時代になっても、チームの骨格を担うべきは生え抜きとの意識がある。昨オフに源田(壮亮内野手)、外崎(修汰内野手)と長期契約を結んだのも、その表れ。指導者にも同様の考えで、特にチームの顔となる監督は場当たり的に決めるのではなく、長期的な視野に立ち、大物OBを確保していく戦略があるようだ」(同)

 西武は石毛宏典、秋山幸二、工藤公康と黄金期のスター選手たちが次々とチームを去り、いまだプロ入り時の球団である西武では監督になっていない。日本一に導いた伊東勤元監督ともたもとを分かって久しい。

 黄金期以降も主力の流出に歯止めがかかっていない。中島宏之(巨人)、浅村栄斗(楽天)両内野手、涌井秀章(中日)、岸孝之(楽天)両投手、秋山翔吾外野手(広島)、そして昨オフの森友哉捕手(オリックス)……。米球界でプレーした中島、秋山はNPB復帰の際に西武に戻ってきておらず、この傾向も松坂氏だけにとどまらない。

 西武の大物OBは寂しげな表情で、その背景に言及する。

「西武にOB会が存在しないことがあると思う。あれだけ優勝の実績がある球団なのに……。我々OBはないがしろにされているように思う。OB会は阪神のように発言力が強すぎると弊害もあるが、OBが引退後に定期的に集まり、結束や連帯を強めることは最低限、必要ではないか。OB会で球団の幹部を交えて飲食を共にし、情報交換することでチームの課題を共有し、OBを指導者などとして有効活用するなどというアイデアも浮かぶもの。渡辺GMもOB会がないことで生じている問題を認識しているからこそ松坂とは関係を深めようと躍起なのではないか」

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