「ルフィはまだフィリピンに潜伏している」36人拘束時に“入管に100万ペソを積んで逃げた男”の行方

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「飛ばし携帯」も簡単に入手可能

 さらに、フィリピンでは闇の世界で必須のアイテムと言える「飛ばし携帯」と呼ばれる電話の入手が容易だ。登録していないプリペイド式や他人名義の電話で、日本では特殊詐欺グループのほか、闇金融の世界で使われており、多重債務者ら「ワケあり」の人々に契約させて1台2~4万円で取引されている。

「フィリピン政府はようやく昨年12月にプリペイド式の携帯のSIMカードも6カ月以内に登録するよう利用者に義務付けましたが、未登録のSIMの使用はその後も認められるもようです。SIMは今でも数百円で入手可。使用に登録が必須になっても、足がつかない他人名義のSIMが簡単に入手できる状況は続くでしょう」(竹下記者)

 フィリピン入管収容所には、現在も警察官や銀行員を装って高齢者らのキャッシュカードを奪うなどした窃盗容疑で指名手配されていた山田李沙容疑者(26)が収容されている。彼女は今年1月12日に逮捕された。同容疑者は渡辺容疑者らと接点があったとみられる。

 日本が犯罪人引渡し条約を結んでいるのは米国と韓国だけだ。フィリピンは今回の捜査でも日本側の要請に条約外で協力したにすぎない。今後もフィリピンがさまざまな日本での犯罪の指令地になり得ることを考えると、二国間における犯罪防止のための本格的な協力体制づくりが必要だろう。

石山永一郎
いしやま・えいいちろう ジャーナリスト。アジア専門誌「リアルアジア」編集長。元共同通信マニラ支局長。

デイリー新潮編集部

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