「ルフィはまだフィリピンに潜伏している」36人拘束時に“入管に100万ペソを積んで逃げた男”の行方

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 フィリピンを拠点にした特殊詐欺グループを指示し、日本の高齢者からキャッシュカードをだまし取るなどしたとして、警視庁は9日までに渡辺優樹容疑者(38)、小島智信容疑者(45)、今村磨人容疑者(38)、藤田聖也容疑者(38)の4人を窃盗容疑で逮捕した。しかし、フィリピンにはなお複数の「ルフィ」などと呼ばれてきた指示役が潜伏している可能性が高い。フィリピンの出入国管理庁(入管)や国家捜査局(NBI)の捜査記録をたどると、いまだ日本に送還されていないグループのメンバーが多数、同国内に残っている可能性が浮かび上がるのだ。(ジャーナリスト・石山永一郎)

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「第5のルフィ」

 2019年11月、フィリピン入管は日本側の国際手配に応じ、マカティの廃業したホテルのビルを拠点としていた日本人特殊詐欺グループ36人を一斉に拘束した。当時から36人のリーダーは渡辺容疑者だったとみられるが、同容疑者はこの時、摘発を逃れたためこの36人には含まれていない。

 実は、36人のうち少なくとも1人が入管収容所から逃げたことを示唆する証言がある。マニラのビジネス街マカティで長年、カラオケパブを経営する日本人男性は次のように話す。

「グループ36人のうち5、6人が頻繁に出入りしていたマカティ最高級とされるカラオケパブに摘発当日夜に“偵察”に行ったところ、女性ホステスたちが36人摘発のニュースを聞いて大騒ぎだった。驚いたのは36人のうち1人が100万ペソ(約240万円)の賄賂を入管収容所の職員に『保釈金』名目で渡し、即日、釈放されたと女性たちが話していたこと。賄賂で釈放された男のお気に入りだった女性は翌日から店を辞めて行方不明になった」

 証言が事実とすれば、この男は誰だったのか。今回、日本送還が注目された4人以外の「第5のルフィ」だった可能性もありそうだ。

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