犯罪者に「狙われやすい家の共通点」とは 下見の際にチェックする“意外な箇所”
家の周囲に「アレ」を放置してはならない
「忍びの弥三郎日記」に記された具体的な忠告を引用する。
「(1)家の周囲に次の物を放置してはならない
脚立(きゃたつ)、梯子は勿論のこと、魚箱、酒専用の空箱、板硝子(ガラス)入れの空枠、果物専用箱、廃車となった自転車、廃材、廃品等々。脚立、梯子、自転車等はその物品の長短重量に応じて家屋の中に保管するなり、堅牢なロープ等で縛っておくこと。泥棒の脚継ぎ等にならないために。
(2)家の周囲に次のような接近物がある場合の事犯防止の要点
自家用車の駐車、広告灯、街灯、電柱、灌木(かんぼく)、喬木(きょうぼく)を始め、視界、外観を遮るような植木、塀がわりの樹木などなど。特に建物の横に街灯、電柱、植木、ブロック塀、樹木等が家屋から(1メートル未満内に)近いと泥棒は(特に身の軽い者だと)家屋やベランダにとびついて侵入する。
これらのものが家屋の身近に接近していたら、接近しているその家屋は、一度は必ず(泥棒に)狙われると思わなければならない。一度は狙われる欠点はつきまとうが事犯を最小限度に食い止めることができる」
塀の効果は限定的
犯罪者にとって塀は、家屋とそれ以外を区切る存在ではないと述べた。では塀は防犯に役立たないのだろうか。
侵入盗の4割は「塀があると仕事に面倒」で、6割は「関係ない、あるいはあった方がよい」と答えている。
面倒な理由は、塀の内外で家の境界が明示され、乗り越えた途端に泥棒と判断されること。素材が硬ければ打ち破って侵入できないこと。忍び入るのに体を持ち上げなくてはならず、体力を要することだ。
その一方、最近よくある家の作りで、塀がなくて道路から窓へと直結しているような(それもクレセント錠が取り付けられている)家は、侵入盗全員が「いいねえ、やりやすい」という反応を示した。
これに対して、塀は「関係ない、あった方がよい」という理由は、塀はプライバシーを守るために外部の視線を遮断し、塀の内側に侵入した者の存在をも消してしまうこと、いい足場になることが挙げられる。
熟練の侵入盗は、人差し指と中指の2本が塀の上端に掛かれば、自分の体を持ち上げられる。つまり、高さ2メートル以下の塀では阻止効果は望めない。また塀の多くは15センチ以上の厚みがあり、彼らはその上を走って家の横手や裏手に回り込む。塀の上に立ち上がり、家屋2階の庇に手をかける、あるいは隣家の2階に入り込むこともできる。
中途半端な塀はかえって犯罪を手助けしてしまうのである。
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防御を固めるには、攻撃側の目になってのチェックが重要ということだ。
【前編:空き巣に狙われている“前兆”とは 防犯のプロが教える「お金をかけずにできる防犯対策」】を読む
※『犯罪者はどこに目をつけているか』(新潮選書)から一部を抜粋・再構成。
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