ついに自民党の“パンドラの箱”が… 総理秘書官の差別発言で「LGBT法案」はどうなる?
自民党の“パンドラの箱”
さらに、今回の荒井氏の失言は思わぬ方向へ波及している。
5日、公明党の山口那津男代表が今回の発言に関し、
「(LGBTへの)理解がまだ不足している。理解を増進する法律をつくるのが大きな一歩になる」
と見解を表明した。
実はLGBTに関する法案は、2021年に超党派で議論されている。「LGBT理解増進法案」だ。
当時、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」の委員長を務めていた稲田朋美氏や超党派の議連が議論を重ねるも、その条文案に党内から反対意見が噴出した。
その案には「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言が見られ、これに自民党内の議員から「“差別を受けた”と訴訟が乱発される」「差別の具体的な内容が明記されていない」と反発が収まらず、法案提出が頓挫。その後も棚ざらしの状態が続いていたが、
「今回の失言で自民党の“パンドラの箱”が開いてしまいましたね」
と先の政治部デスク。
「法案提出を断念した際、事実上の責任者だった稲田朋美さんは激怒していました。かたや、保守系の議員からも法案に対し批判が渦巻いていた。LGBT法案を提出するという動きになれば、党内を二分する激論となるのは避けられません」
「G7サミット前に」
また、英BBCなど海外メディアでは、今回の失言をきっかけに日本が「G7で唯一同性婚を認めていない国」と報じている。
さる野党幹部はこう語る。
「LGBTや同性婚の問題は国際社会でも敏感です。5月に広島で行われるG7サミット前までに、岸田政権としてLGBT問題に前向きだという姿勢を見せなくてはならないでしょう。ただ、自民党の保守系議員は早くも難色を示しています」
昨年の臨時国会では旧統一教会の被害者救済法案が野党主導で議論が始まったが、政治ジャーナリストの泉宏氏によれば、
「LGBT法案が旧統一教会の被害者救済法案と同じ経過をたどる可能性はあると思います。低迷する支持率回復のため、野党の提案に抱き着いて、法案を一気に通してしまうことはあり得るでしょう」
実際、6日午前になって、岸田総理は党幹部に法案提出への準備を指示している。
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