嫌みに聞こえないのが実力の証し 藤井五冠が「久々の挑戦者」となった「棋王戦」
ついに始まった「棋王戦」
2月5日午前9時。長野市の対局場で始まった棋王戦。お互いに研究を尽くしてきたのだろう、最近の花形戦術といわれる「角換わり腰掛け銀」という形から静かにスタートした第1局は、開始1時間で66手も進むハイペースとなった。
しかし、その後に研究手順から離れた手が出始めると、一転して互いが長考に入る展開となった。
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勝負どころがどこだったのか、分からないまま…
将棋ライターの松本博文氏は、
「序盤から中盤にかけての早い進行は現代調で、コンピューター将棋(AI)も駆使した事前研究のたまものといえるでしょう。ほぼ互角の形勢が長く続きましたが、藤井さんが先手番の有利さを生かして、少しずつ具体的なリードにつなげていきました。終局後、敗れた渡辺さんが『勝負どころが、どこだったのか、分からないままになってしまった』と振り返っていたように、途中からいつのまにか、藤井さんのペースになっていったのです。これも藤井さんのいつもの勝ちパターンなのですが、そこに底知れぬ実力を感じます」
と解説する。
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