「ブラッシュアップライフ」で高評価、どんな役柄もこなす女優「安藤サクラ」をつくった生育歴
中学生からバイト
学習院女子中等科3年時からはファミレスの厨房でアルバイト。もちろん校則破りだ。女子高等科でもバイトは続けた。自立心が強いのだろう。また、女優に欠かせない人間観察につながったはず。ただし「成績がよくなくて(笑)」(安藤、「週刊文春」2014年12月25日号)。それは仕方がない。
大学ではワークショップに通っていた青井陽治氏が演出する舞台に立つ。映画の初出演作は「風の外側」(2007年)。父親の奥田が監督し、脚本を書いた作品で、在日韓国人のチンピラ(佐々木崇雄[43])と名門女子高生(安藤)のラブストーリーだった。
奥田が愛娘のために脚本を書いたと思いきや、そうではない。女子高生役を演じるはずだった女優がドタキャンしたため、急きょ安藤が代役になった。奥田も安藤も渋々だったものの、作品の評判は良かった。
芸能一家ならではの助け合い。ちなみに姉の安藤桃子(40)は映画監督で、安藤が主演した「0.5ミリ」(2014年)などを撮った。
義母・角替和枝の言葉で決意した「まんぷく」への出演
柄本佑(36)と結婚したのは2012年だった。出会ったのは2008年の「あきた十文字映画祭」(秋田県横手市)で、3年の交際を経て入籍した。安藤は柄本佑と知り合う前、弟の柄本時生(33)と「俺たちに明日はないッス」で共演していた。
柄本佑の演技力も折り紙付き。ここまで実力者同士のカップルも珍しい。柄本は主演映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」(2018年)でデタラメの限りを尽くす天才雑誌編集者に扮する一方、NHKの主演ドラマ「心の傷を癒すということ」(2020年)では繊細で思慮深い精神科医を演じた。やっぱり幅が驚くほど広い。
柄本家も華麗なる芸能一家。父親の柄本明(74)が名優であることはよく知られているが、約4年前にがんで他界した母親の角替和枝さんもドラマの助演者として活躍していただけでなく、演劇界のスターだった。1970年代には「演劇界の(山口)百恵ちゃん」と呼ばれるほど人気者だった。
安藤はNHK連続ドラマ小説「まんぷく」(2018年度後期)
のヒロインを務めたが、これを決心させたのは角替さん。安藤は娘が生まれて間もなかったことから、出演依頼を受けるかどうか迷ったが、
角替さんがこう言った。
「あんた、これやらないなら、もうこの仕事やめな」(角替さん)
角替さんは根っからの女優なのだ。安藤がこの話を明かしたのは同1月のヒロイン発表の場。「まんぷく」の放送が始まったばかりの同10月、角替さんは逝った。安藤は悲しみを押し隠して、その後の撮影に臨んだ。こちらも女優だ。
安藤は柄本とのツーショット写真をたびたびインスタグラムで公開。夫婦は円満そのもののようだ。なにしろ「私は柄本佑の超ファン」(安藤、「キネマ旬報」2019年2月15日号)と言うくらい。
「ブラッシュアップライフ」での女子大生役や新人ドラマ制作者役を観ていると、結婚していて子供までいるとは思えない。凄い女優である。