三笘薫、旗手怜央、伊東純也、上田綺世…欧州では”異色”な彼らの経歴が日本人選手の価値を高める理由

スポーツ

  • ブックマーク

問われる交渉術

 もちろん本人の努力による結果だが、Jクラブは海外移籍を希望する選手を後押しするように、高額な移籍金を設定することはほとんどない。「希望を叶えてやりたい」という親心からで、時にはレンタル移籍で送り出すこともある。

 受け入れるクラブとしては、「レンタルならたいして費用はかからないし、ダメなら返せばいい。掘り出し物があればラッキー」くらいの感覚だろう。三笘の4億円もヨーロッパの市場からすれば、いまとなっては破格の安値だ。

 果たして今シーズン終了後、三笘の移籍金はどれくらい高騰しているのか想像もつかない。彼を育てた川崎Fや筑波大学には、連帯貢献金とトレーニング費用(育成保証金)が支払われるものの、今後は「安価な移籍金で売却した」と交渉の未熟さを指摘される可能性が高い。そしてそれは、川崎Fに限ったことではない。

 三笘や旗手、上田らが活躍すればするほど、Jリーグ(Jクラブ)の“陽”である選手の質の高さと同時に、移籍交渉に関する“陰”もクローズアップされることになるだろう。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。