中国は“スパイ気球”でアメリカにわざと喧嘩を売ったのか

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中国を敵と見なす

 そうはいっても、アメリカの国民を激怒させたことは紛れもない事実だ。

「アメリカ人からすれば、2001年の同時多発テロを思い起こしたはず。中国は怖い国と認識したと思います。いきなりアメリカの領空に気球を飛ばして、タダで済むと思う方がおかしい。中国はアメリカの虎の尾を踏んでしまったわけで、米中関係に心理的にも、政治的にも大きな影響を与えるでしょう」

 それにしても、なぜこのタイミングで気球を飛ばしたのか。気球には太陽電池やプロペラも装着されていて、舵をとることも可能だった。

「飛ばしたのは人民解放軍です。中国はこれまで4回、アメリカ本土に偵察気球を飛ばしていたと言われていますが、ブリンケン長官の訪中の時期を考えていなかったのでしょう。そうでなければ、こんな馬鹿なことはしないと思いますね」

 昨年の党大会で3期目を迎えた習近平国家主席にとっては、深刻な事態に陥るという。

「最悪のタイミングでアメリカ領空に入ってしまった。習近平にとっては誤算というほかないでしょう。米中関係の改善どころか、悪化する可能性大です」

 1972年、中国はピンポン外交(1971年、中国が欧米の卓球選手を中国に招待したことで米中関係が緩和された)によってニクソン大統領が訪中し、その後79年に両国の国交正常化が実現した。

「中国は小さなボールで米中関係を改善しました。ところが習近平は気球という大きなボールで、米中関係を崩してしまったのです。これは簡単には修復できないでしょう」

デイリー新潮編集部

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