“ペロペロ少年”の処分はどうなる? 少年の母が取材に語った「謝罪」と「息子の退学」
「刑事や民事より恐ろしい」
スシローにとっては、訴訟を起こすこと自体に意味があるという。
「これだけ話が大きくなると株主や顧客への説明責任が生じ、毅然とした対応を見せる必要があるのです。また、模倣犯を防ぐ抑止効果も狙っているはず」
となれば、少年の代償は安く済むように思われるが、
「重い十字架を背負いました」
とは、埼玉県警の元刑事でデジタル捜査班班長を務めた佐々木成三(なるみ)氏。
「いま出回っているこの少年の情報は、ネット上で半永久的に残り続ける。いわば、デジタルタトゥーを刻印されてしまったわけです。辛い話ですが、今後この少年が進学、就職、結婚など人生のさまざまなステージを経る際に、関係者に名前をネットで検索されて、不利益を被る可能性は十分にある。たった一度の過ちが、人生に大ダメージを及ぼしかねないのです」
実際、過去に起こったバイトテロ事件では、未だにその犯人の名がネット上でさらされ続けている。
「ある意味、刑事や民事での責任追及より恐ろしい。しかし、少年はこれを想像していなかったはず。“確信犯”でなくても、誰でも悪意の沼にはまってしまう危険性があるところに、SNS社会の本当の恐ろしさがあるわけです」
「携帯の中で何が起きているのか不安」
当該の店を2月初旬の月曜お昼時に訪問してみると満席で、待合スペースには20人ほどが待機していた。中には「応援したくて来た」と言う客もいる。
対して、この少年に日常が戻る日はまだまだ遠い。
近隣住民によれば、少年は、父が建築関係の仕事に就く一家の、4人きょうだいの長男だという。
改めて母に聞いてみた。
――動画を初めて見た時はどのように思われましたか。
「うーん、何であんなことをしたのか、と。本当に、本当に申し訳なくて……。本当にすみません」
――息子さんは普段からSNSに夢中だったんでしょうか。
「そういうことも警察の捜査が関わってくるので。ごめんなさい」
――今後はどのようにSNSの指導などをしていくのでしょうか。
「まだスシローさんへの対応もきちんとできていないので、そこまでは考えていなくて。まずは罪を償って、それからの話です」
――ネット上には実名が出てしまっていますが……。
「携帯の中で何が起きているのか不安です。でも、それもあの子がしたことですから、本当に大変なことをしてしまったんですから、きちんと受け入れるしかありません」
――お母様としては辛いですよね。
「辛いといっても、私たちはそんな立場にはありませんので。スシローさんのほうがどれだけ大変か、利用していた方の気持ちを思うと、私たちなんて全然……。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
時にすすり泣き、おえつも漏らしながら謝罪を繰り返すのであった。
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