早くも今年のドラフトに“大豊作”の予感…今から覚えておきたい「12人の超有望株」

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選抜出場を逃した「本格派サウスポー」

 プロ野球が2月1日にキャンプインし、アマチュア野球は3月14日に開幕する選抜高校野球の出場校が決定するなど、“球春の到来”を感じさせる時期となった。高校生では、花巻東のスラッガー、佐々木麟太郎(※選抜不出場)や大阪桐蔭のエース・前田悠伍、専大松戸のエース・平野大地、報徳学園の強肩捕手・堀柊那、広陵の強打者・真鍋慧ら「選抜出場組」に注目が集まっている。今年のドラフト戦線には逸材が多く、すでに近年稀にみる“大豊作”と言われており、スカウト陣の動きが激しくなりそうだ。【西尾典文/野球ライター】

 花巻東の佐々木のように、選抜出場を逃した高校にもプロ注目の選手がいる。1人目は東松快征(享栄)。東海地区で高い注目を集めている本格派サウスポーだ。

 昨年は夏、秋とも、愛知県内のライバルである東邦に敗れて、なかなか甲子園にたどり着けていない。だが、ストレートはコンスタントに145キロを超え、昨年10月の練習試合で最速152キロをマークしている。少しテイクバックの動きが大きいフォームで安定感を欠くとはいえ、ボールの力は冒頭で触れた前田を上回っている。高校生でこれだけ出力が出る左腕は貴重で、プロの人気が集中する可能性が高くなりそうだ。

 続く、2人目は坂井陽翔(滝川二)。こちらは、身長186cmを誇る大型右腕だ。昨年秋の兵庫県大会は、準々決勝で報徳学園に0-4で敗れたものの、7回までは0対0の接戦を演じている。近畿担当地区のスカウトは、坂井について以下のように評している。

「まだ良い時と悪い時の差は大きいですが、上背があって手足も長く、ピッチャーらしいピッチャーだと思います。長身を持て余したようなところがなく、変化球も器用に投げられるし、高校生としてはコントロールがいい。投げない時は外野を守って4番を打っていますが、バッティングにも力がありますね。(高校生の)近畿地区の右ピッチャーでは、一番(の実力者)ではないでしょうか」(近畿地区担当スカウト)

即戦力候補の「大学生」4投手

 3人目は、明瀬諒介(鹿児島城西)。九州を代表する“右のスラッガー”である。1年秋から中軸に座り、昨年秋の鹿児島県大会では、3試合連続ホームランを放っている。パワーはもちろんだが、打球の角度をつけることが上手く、ホームラン打者らしい軌道は大きな魅力だ。大舞台での活躍がなく、知名度は高くないものの、春以降の活躍次第で、佐々木や真鍋と肩を並べる強打者に成長する可能性は十分にある。

 さらに、“大豊作”と言われる今年のドラフト候補の中で、大学生の4投手が「即戦力候補」として顔を揃えている。

 細野晴希(東洋大)は、最速155キロを誇るサウスポーだ。東洋大は現在、東都二部に所属しているが、細野は、一部、二部を問わず、1試合あたりの奪三振率は10を超えている。好調時はボールの勢いが圧倒的だ。昨年春のリーグ戦を視察していたスカウトからは「今のプロ野球で、細野以上の先発の左投手はいないのではないか」という声が聞かれたほど。少し慎重になり過ぎて、自らピンチを招くことが多い点は課題だが、ボールの力はすでにプロの一軍レベルにあることは間違いない。

 常広羽也斗(青山学院大)と、西舘勇陽(中央大)は、東都一部でしのぎを削る本格派右腕。常広は、細身ながら柔らかさと躍動感が抜群で、雰囲気は岸孝之(楽天)を彷彿とさせる。

 一方、西舘は走者が塁にいなくても、クイックで投げるスタイルだが、ボールの力は抜群で、“大型投手版”の浅尾拓也(元中日)という印象だ。常広、西舘ともにストレートは150キロをコンスタントに超え、総合力は、アマチュア球界全体で屈指だ。

 松本凌人(名城大)は、変則なフォームが特徴の本格派サイドスロー。150キロ前後のストレートと鋭く変化するスライダーとカットボールは一級品で、昨年は大学日本代表に選ばれている。スカウト陣からは「リリーフであれば、即戦力だ」という声が多く聞かれた。昨年新人王に輝いた大勢(巨人)のように1年目からフル回転の活躍も期待できそう。

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