日テレ「大病院占拠」はコア視聴率1位 若い視聴者は気付かない2つの古典的要素を発見

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予想されるオチは…

 最終的には院長・播磨貞治(津田寛治[57])と県知事・長門道江(筒井真理子[62])と県警本部長・備前武(渡部篤郎[54])が黒い秘密を共有する大ワルなのではないか。おそらく鬼たちの最終ターゲットだろう。

 黒い秘密は病院内に隠されているはず。第2話で鬼同士が「例の場所、見つかったのか」「本当にあんのか」と言葉を交わしていた。

 県警本部長・備前は第4話で鬼たちが秘密を知っていることに気づいたように見えた。直後、急に「いますぐ制圧するんだ!」と、強硬策を命じた。鬼を皆殺しにしたいようだ。

 すると県知事・長門も一蓮托生ということになる。県警は県公安委員会が管理し、その県公安委員会は知事の下に置かれているからだ。事実上の県警トップは知事である。

 長門は「たまたま病院に視察に来ていて事件に巻き込まれた」のではなく、「鬼たちは長門がいる日を狙って病院を占拠した」のだろう。

ブランディングとゾーニングに成功

 日テレのプライムタイム(19~23時)には「大病院占拠」の「土曜ドラマ」(22時)を含め、連続ドラマ枠が3つある。各作品のそれぞれの評価などを度外視すると、ブランディング(ほかのドラマ枠との差別化)とゾーニング(区分け)に全局の中で一番成功していると言える。

 まず、「土曜ドラマ」のメインターゲットは誰の目にも分かる通り、若年層。前作「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(昨年秋ドラマ)もそうだった。

 だから、数の多い高齢者が好む作品でないと高くならない世帯視聴率はいつも低い。半面、若年層向け作品だから、コア視聴率は安定している。批判もあった「祈りのカルテ」もコア視聴率は堅調だった。もはや日テレは世帯視聴率を気にしないので、その低さは全く問題にならない。

 ちなみに「大病院占拠」の毎話のコア視聴率は4%半前後。他局には1%台半ばの連ドラもあるから、ハイレベルのコア視聴率トップだ。

 世帯視聴率は7%半ば前後で個人視聴率は4%半ば前後。特に目を引くのがF1(20~34歳の女性)の個人視聴率の高さで、2月4日放送の第4話は6.0%に達した。この日放送された全局の全番組の中でトップだった。

 現在は「リバーサルオーケストラ」を放送中の「水曜ドラマ」(22時)は対象的で、大人の視聴者によく観られている。落ち着いた作風である上、出演陣の平均年齢も比較的高めだからだろう。

 前作「ファーストペンギン!」もそうだったが、職場で頑張る女性を主人公とする作品が5作連続で続いているから、女性からの支持が特に厚い。2月1日放送の「リバーサルオーケストラ」のF3(女性50歳以上)の個人視聴率は6.7%もあった。

 安藤サクラ(36)主演の「ブラッシュアップライフ」が話題の「日曜ドラマ」(22時30分)は現在のテレビ界で最も野心的なドラマ枠に違いない。ブッ飛んだドラマが多い。すると自然と若い視聴者が多くなる。

「日曜ドラマ」は毎期、バクチをやっているようなものではないか。勝てばデカイ。「あなたの番です」(2019年春ドラマ)などは大当たりした上、映画になった。一方で「君と世界が終わる日に」(2021年冬ドラマ)などは盛り上がりに欠けた。

 日テレはバラエティのイメージが強かったが、ブランディングとゾーニングに成功したので、今後はドラマも存在感を増すに違いない。テレビ界のドラマ戦線はより混戦化する。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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