MLBスカウトが村上、佐々木の前に狙う“獲物”とは 山本由伸に次ぐ「ポスティングの目玉」に垂涎
村上、佐々木以上の熱量
3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表で、今オフのポスティングシステムによるMLB移籍が有力視されている山本由伸投手(オリックス)以外に、MLBのスカウト陣が手ぐすね引いて待ち構えるNPB選手がいる。その熱量は「令和の三冠王」ヤクルトの村上宗隆内野手、「令和の怪物」ロッテの佐々木朗希投手を凌駕するものがある。DeNAの左腕、今永昇太投手(29)だ。【球人ニキ(たまんちゅにき)/野球ライター)】
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米大手マネジメント会社の代理人が語る。
「山本の力は既にアメリカでも知れ渡っている。村上や佐々木は、ただちにメジャーというわけではない。メジャー各球団のスカウトは、山本と同様に今永が今オフにポスティングにかけられることを想定している。公式球やマウンドなどメジャーの環境に近いWBCでのプレーを注視していく構えのようだ」
WBCは陳列棚を意味する「ショーケース」と言われてきた。MLB入りの可能性がある各国・地域のメジャー予備軍の選手たちに対し、ネット裏からMLB各球団のスカウトたちが目を光らせる。松坂大輔、パドレスのダルビッシュ有投手らはWBCをステップに海を渡った。メジャーのスカウトにとって今大会の日本代表では山本に次ぐ「目玉」が今永という構図だ。
今永は2016年に駒大からドラフト1位でDeNA入りした。通算成績は57勝46敗、防御率3.24。主要タイトルこそ手にしていないものの、ホームランが出やすい投手不利の横浜スタジアムをホームに、主戦として活躍してきた。昨季はノーヒットノーランを達成した。
「ハマスタで(昨季の)防御率2.26は価値が高い。(左腕が不得手とされる)右打者に対してもチェンジアップという武器がある。(西武からメジャー挑戦した)菊池(雄星投手=ブルージェイズ)の渡米時よりは完成度が高い。今季の活躍次第では、今のメジャーの相場ならポスティング移籍でも、千賀(滉大投手=メッツ)に匹敵する100億円規模の契約も夢ではない」(元NPB球団監督)
MLB挑戦、既に決断か
早くも今永の周辺はMLB挑戦を巡り、ヒートアップしている。昨夏、野球専門メディア「Full-Count」が「DeNA今永、メジャー希望聞かれ『イエス。近いうちに』 大谷溺愛アナリストが明かす」と伝えた。米専門局「FOXスポーツ」のアナリスト、ベン・バーランダー氏が日本で今永と交流した後に番組で発言したという。
しかし、バーランダー氏は直後に「ミスコミュニケーション」と訂正し、記事は修正されるなどした。Full-Countは「一部誤解を招くような表現がありました」と謝罪に至っている。
その前年、21年オフの契約更改交渉ではDeNAの球団幹部に「アメリカに興味があるか?」と問われ、今永は「あります」と答えている。順調なら、このオフには国内フリーエージェント権を取得する。昨年末の契約交渉では今季、1年契約を結び、勝負のシーズンに位置づけるとともに、今後も球団とはMLB移籍の道を模索することで一致した。
「Full-Countの記事になった経緯の真相はうやむやだが、今永のメジャーへの思いはこの時の記事に遠くないと思う。海外FAを取ってからでは年齢的に遅く、メジャー挑戦はラストチャンスに近い時期に差しかかっていると思う。昨オフは山崎(康晃投手)がメジャー移籍を断念し、生涯DeNAとなったが、今永は故障さえなければ渡米する意志を固めていると思う」(遊軍記者)
今永は2月1日からの春季キャンプであえて沖縄の1軍本隊を離れ、奄美大島の2軍からスタートした。WBCに向けた調整は1軍とはペースが異なるための措置だ。メジャー挑戦に弾みをつけようとWBCでの活躍へ並々ならぬ決意が伝わってくる。
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